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12.事件?

 ここは…どこ…?わからない。でも、なんだか…安心する。暖かい。


『…。…。』


 声…誰…?


『…。……っ……?。』


 なにを言ってるのか上手く聞き取れない。それでもそこに確かな気配を感じ、確認しようとゆっくりと重たい瞼を開けた。開いた視界の先には今の自分と瓜二つな姿の少女、フィリアルがいて。


 フィル…?どうしたの?そんなに必死になにを伝えようとしてるの?


『邪…が…来る。すご…危険な…気をつ……………』


 途切れ途切れな声だ。聞き取れないうちにフィルの姿は白い空間にだんだんとかき消えて、気配も薄くなっていく。え?ねぇ…聞こえなかったよ?もう一回言ってよ。フィル…?どこいったの?ねぇ…。



◇◇◇


ガバッ


「え…あ…って…あれ?」


 悠は辺りを見回す。そこはカイの家の一室で、先程、雫の治療を受けた部屋だった。辺りは暗く、いつの間にか夜になっていた。


 少し身体をひねりながら動かしてみる。痛みはなく、どうやらもう完治しているみたいだ。身体も軽い。ふと悠は今見た夢を思い返してみる。


「今のは…ただの夢?いや…」


 物凄く嫌な予感がした。こめかみあたりにピリピリとくる、変な気配があるのだ。…雫に相談してみよう…うん、フィルが夢を通して警告までしてくれたんだ。


 きっとこれは只の予感じゃ…ない!となればまずは雫を起こさなきゃ…


バッ


「起きて!しず…っ」


ふにっ


「………ふに?」


 隣のベッドで眠っている(はず)雫を起こそうとして体を翻した悠はそのとたんに何か柔らかいものが押しつけられてるのを感じ、固まった。


「なにコレ…なんか柔らかいのが…」


「ゆ~う~♪」


「~っ!?」


 悠は視線を落としさらに固まった。隣のベッドで寝ているはずの雫が、何故か 悠のベッドにいて。上半身を起こした状態の悠に横からしがみつく形で抱きついていたからである。


「なんで!?ちょっと雫!離れて!起きて!」


「ゆ~う~♪」


 ぎゅっと雫がさらに押しつける。


「ちょっ、その…、胸が…」


「ゆ~う~♪」


 2人はミリーから借りた服を着ていて今は色違いの同じデザインの服を着ている。その素材はヒラヒラしたもので、雫は何も考えず(と言うか寝ぼけたまま)胸を押し当てているせいで、布がひしゃげて胸元が露わになっていた。嫌でも目に入る真っ白な肌には雫の綺麗な長い黒髪が散らばっていて、そのコントラストがより雫の肌の白さを際だたせ、とても扇情的だった。ていうかエロい。


「わぁ~白っ…って、…あ…違くて…あ、当たってるし、…その、見えそうだよぉ!??」


 雫は緩みきった顔で優にトドメをさした。


「ゆうのからだ、やあらか~い♪きもちいいのじゃぁ~♪」


「~~~っ!?(それこっちのセリフなんだけど!??なんか雫が変!凄く変!)…うわっ!!」


 雫が全体重を悠に預けたため、悠は再びベッドへと押し戻される形で倒れ込んだ。雫もそのままなだれ込み、悠の上に覆い被さる形になった。ちょうど悠の胸元に雫が顔をうずめる形になり、嫌でも『女になってしまったた身体』を意識させられる。


「っわ!」


 それまで、もがきまくっていた悠は突然もたらされた感覚に叫び声をあげ、ピタリと動きを止めてしまった。そしておそるおそる自分の胸元を覗き込むと、暴れていたせいで衣服が捲れた間から本来の身体の…男の体にはなかった脂肪の塊が目にはいった。


「…う…わぁ…。っ。今まで意識しないようにしてきたのに!うぅ~ホントに女だな…、あぁっもう~雫のバカぁ。ってわぁ、ちょ…くすぐったいから動かないでっ!」


 雫が寝返りを打つと、体が触れ合う部分から慣れない感触がして、悠は逃れようと再び必死にもがき始めた。


「ん、…悠…?」


 しばらくして雫が体の上で身じろいだのを感じた。悠はというと、もがけどもがけど雫はしがみついてなかなか離してくれくて半ば疲れ始めた所だった。


「雫…やっと…起きた…?」


「え…」


 そうしてようやく雫は今の状態に気づいたようだ。瞬く間に顔が赤くなっていく。


「~~~っ!?」


(な、何故妾は悠の身体の上で寝ていていたんじゃ!?)


「…雫?はやく退いてほしいんだけど。」


 名前を呼ばれ、雫は自分の身体の下で横たわっている悠を見た。衣服は乱れていて、目は涙ぐんでいる。


「え、あ…え?」


(妾は何をしたんじゃ…!?…思い出せぬ…!思い出せぬ…!)


『~♪』


(…?)


 頭を抱え必死に思いだそうとしていると、何かが頭の中をよぎった。少しずつ寝ぼけたいた間のもやが晴れていく


(…?なんか思い出しそうじゃぞ…)


『う~♪』


(…?)


『ゆ~う~♪』


(…!!)


 サァーっとみるみるうちに血の気が引いていく。


『ゆうのからだ、やあらか~い♪きもちいいのじゃぁ~♪』


「はわぁぁぁぁぁぁぁぁ!??????/////////」


 記憶の中の雫は胸を悠に押し当て、頬ずりをし、甘い声でに何度も悠の名を口にしていた。


「あの、ちょっと雫…?大丈…」


 ビクッと雫の方が震える。


「違うんじゃ…」


「いや、だから…どうしたんだよ」


 悠はいきなり赤面し悶え叫び始めた、この黒髪の少女がさすがに心配になり声をかけたが…


「ちがぁぁう。あれはちがぁぁう!!!!」


「えっ」


ゴリッ


「あ…」


ドゴォーン!!!






…間!



「あの…その…す、すまなかった…」


「あは、あははははは…」


 結局悠は、我に返り頭のてっぺんからつま先まで真っ赤になった雫に魔法で吹っ飛ばされる形で解放された。


「いっつ~。まったく。確かに身体は女の子になっちゃったけどさ、中身はれっきとした男なんだから…なんていうか、…あれはその…刺激が強すぎる…というか…」


 悠が思い切りぶつけた背中をさすりながら言った。


「あう。…す、すまん。」


 それに対して雫も申し訳ないやら恥ずかしいやらで何も返せる言葉がなかった。


「いや、良いよ。寝ぼけてただけなんだし…、あ…それよりさ、雫に聞きたいことがあったんだけど」


「な、なんじゃ?」


 悠は雫を起こした本来の目的を思い出し、本題を切り出した。雫は早く話題を変えたかったということもあり、それに乗っかる。そして悠は先程みた夢の話をしたのだった。




 先程とは打って変わり、話を聞いた雫は真剣な面持ちだった。


「ふむ…。確かにそれは気になるのぅ。悠が感じる嫌な気配とはどんなものなのじゃ?」


 そう言われ、悠は 指先をこめかみに当て、意識をその気配に当てる。


「なんか…上手く言えないけど、これフィリアルのものじゃない…。なんか…異物…みたいな?」


「…この世界の物じゃない…」


 感じるものがあったのだろう。雫は悠の言葉を復唱した。悠もそれに反応する。


「!何か知ってるの?」




「いや…、そんなはずは」


コンコン


「!」


 2人の会話はいきなり鳴ったノックに中断された。2人は目を合わせアイコンタクトを交わす。悠が首を横に振り、雫が頷く。これは『近づいている危険』とは別のものという確認だった。悠がドアの側に駆け寄り、声を返す。警戒は忘れない。


「はい?」



「あ、ユウさん!こんな時間に済みません」


「なんだミリーちゃんか」


 悠はそういうと、警戒を解き、安心した面持ちでドアを開けた。するとひょこっとミリーが顔をだし、

「こんな時間ですけど、村長さんがお二方を連れてきて欲しいと」


 と言った。それを受け悠は村長、村長っと頭の中に検索を掛けたけど、いっこうに見つからなかった。


「村長?…っていうか、こんなに迷惑を掛けてるのにまだ一回も挨拶しにいってなかったな…」


 それを聞いた雫も思わず言葉を洩らす。


「…そういえば妾もまだ村長殿と会ってはおらんのう」


「あらそうなんですか?まぁ、いろいろありましたものねー。でも村長さん優しいから大丈夫ですよ!行くなら案内しますよ?」


 ということで2人は村長の家に向かうことにし、身仕度をした。雫に言われて、外出する時は武器は持ち歩くことにする。そうして悠と雫はミリーの案内で村長宅に向かう。その道の途中、2人はミリーに聞こえないようにひそひそ声で話し合う。


「お主、さっきの話はどうするつもりじゃ?ほっとく訳にはいかんじゃろ?」


「そうだけど、これだけお世話になってるのに無視するわけにもいかないだろ?こんな時間に呼ぶくらいだから、何か用があるんだよ。もしかしたらさっきの話と関係あるかもよ?」


「いや、妾にはそうは思えんがのう…」


 そこにミリーが割って入ってくる


「なーにコソコソしてるんですか!私はお2人の関係もう知ってるんですから!もっとどうどうとイチャイチャして良いんですよ?」


「な…な、何をバカなことを言っとるんじゃ!!!」


「?」


 真っ赤になって怒る雫。もう呂律も回ってなくて、物凄く慌てているのがわかる。本当に耳まで真っ赤だ。それに対して話がわからずキョトンとしてる悠。ここで初めてミリーは違和感に気付く。


(あ、あれ…!?ユウさん無反応?え…もしかして、私…全く見当違いなことをシズクさんに吹き込んじゃった?)


 ミリーは焦りながら2人のやりとりを眺める。


「どうしたの雫?顔真っ赤だよ?」


「そ、そんなわけないのじゃ!赤くなどない!」


「い、いや…赤いけど…」


「う、うるさぁい!!」


「えぇ!?なんだよぉ…もう」


 雫が真っ赤になりながら悠をどついた。悠はなにがなんだかわからず雫を追求しさらにどつかれ拗ねていた。それを見ていたミリーはそれが可笑しくてクスクスと笑った。


(まぁいっか。面白いし♪)


 そうこうしているうちに、村長宅へと 着き、ミリーがタッタッタと中へ入っていき一言二言、中でやりとりをしたあと外に顔を出し、2人を手招きした。


 中に入るとカイさんと、リクトさん、シュガーさん、それと知らない男性が2人が集まっていた。その知らない男性のうちひとりが、声をかけてきた。


「初めまして、旅のお嬢さん方。私がこの村の村長です。」


 村長は白髪が混ざった黒髪の初老の男でいかにも責任感に溢れる人!みたいな人だ。…あの男の人は誰だろう。


 悠は奥の方で1人壁により掛かっている男を見た。30代だろうか。銀髪の長い髪で耳や首が覆われており、精悍な顔つきで鋭い目つきだ。そしてその立ち振る舞いはお世辞でも好意的とは言えないものだろう。


 男は悠と雫を睨むように見据え小さく笑った。


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