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0.夢

初投稿で稚拙な文でございます。

刺さる程に冷たい風が吹く中、人気のない山道をひとり歩く者がいた。


歳は十代後半だろうか、茶色がかった髪にどちらかと言うと中性的な顔立ちをしたその少年は


少しばかり表情に疲労の色を見せながらも黙々と歩いていた。


彼はふと足をとめ夜の闇を見つめる。その漆黒の暗闇に気圧され、目に不安の色を浮かべている。


しかし何かを決意したように、キュッと口元を強く結ぶと


夜の暗闇の中に消えていった。


◆◆◆


『ジリリリリリッッッ!!!』


けたたましい金属音がする。朝のささやかな幸せをぶち壊すソレに僕は手を伸ばす。しかしその騒音を止めることはなく手は空を切った。


あぁ…うるさい。くそぅ。


僕はベッドから起き上がり、部屋の反対の方にある本棚の一番上に君臨する騒音を止めに行った。


カチッ


「寒っ。あ~、一気に目ぇ覚めた。」


僕は目覚ましを手の届く範囲には置かない。いや、だって無意識にとめたって意味ないし。


そして先ほどまで見ていた夢を思い起こす。また…あの夢だ。でも…そう、今日のそれは今までと違い確実に異質だった。


僕、七矢悠(ななや ゆう)は大学1年生。今日誕生日で19歳になったばっかり。性別は男。

身長は160、髪は長めで茶色がかっていて顔はどうやら中性的ってやつらしい。

特技は剣道…かな。中高と続けていたからそこそこ「上手い」つもりだ。あくまでもスポーツとしてなのだけど…


そして僕は、昔から良く不思議な夢を見た。

幼いときの記憶というものは日々薄れていくものだと思う。

しかし、不思議とその夢だけは今でも鮮明に覚えている。


うん。この際ちょっと振り返ってみようか。

そうしよう


たしか最初に見たのは2歳くらいの時だった。普通は覚えているだけで奇跡だと思わない?

最初は小さな何かが水に漂っていただけだった。


このときは特に意味のない夢だった。

でも、その何かは夢を重ねる事に劇的に変わっていった。

夢をみる度、形はどんどん変化していく


そして、それは小学5年生のときそれはクラゲのようななんともいえないものになり

中学2年のときに「何か」は海草の様なものや、魚のような形をしたものになった。

ここで、僕は「生物の進化の過程を夢で見ている」と確信した。


そして2年前、予想通りというか魚もどき達の一部は陸に上がり、そして1年前からはやっぱり、ひたすら恐竜の様なものの夢を見た。


ただあれはリアル過ぎておっかなかったけど。まぁそんなかんなで、例に漏れず19歳の誕生日の今日も僕は夢を見たわけだ。


僕は頭の中でそんな今までの夢を思い出し整理ながら身支度を済ませ、ひとりぐらしのアパートを出た。


学校には余裕で間に合いそうだ。歩きながらまた考えに耽る。


「…あれは確かに人だった」


そろそろかと思っていたけど、やっぱり実際見ると驚いた。

つまり今日の夢で初めて「夢の中の生物の進化」が「人間」までたどり着いたのだ。


この夢を見るとき、僕は自由に動き回れる「視線」となって世界を眺めている。そこには確かに人がいたのだが、


(僕達と少し違う?)


いや正しくは違う人もいる、だ。


見た感じ『人』には3種類のパターンがあった。


ひとつは僕達と全く同じ人たち。見た限りでは、だけど。

もう一つはやたら美形で色白で耳が尖っている人たち。なんていうか…エルフ??…ゲームのやりすぎかも。

そして最後はそのエルフ?と同じで耳がとがっていて、肌が浅黒い人たち。世界をぐるっと回っていろんな人を見たけど、この3つのどれかにみんな当てはまるようだった。


人種みたいなものかな?


それより気になるのは…「おーい」


夢のさい…「おいってば!!悠!!」


「うわぁっ!!な、何!?」


大きな声と共に肩を叩かれ振り向くとそこには見知った顔があった


「何朝から難しい顔してんだよ、悠。」


「おはよう…浩幸。」


彼は坂井浩幸。僕の大学の友人だ。外見は派手に染めた茶色の短髪で(僕は地毛)、実は結構モテるらしい。性格もやたら男らしく、まぁいい人だとは思う。

ただ僕の目指す男らしさは紳士的なものだから彼とは対極の位置にあるけどね。


「なんだなんだぁ??俺は俺が知る限り最も紳士的な男だぞ?」


「………」


いろいろつっこまないでおこう。

彼は大学で知り合った中で同じ一人暮らしだからこうして登校に会うのも珍しくはない。


そして、これはまた非常に残念なことによく馬が合ってしまっている…(笑)


「…今失礼なこと思わなかったか?」


「わぁ、なんで分かったのヒロユキくん!」


「この野郎っ!!」


そんな下らないやりとりをするうちに大学に着いた。


退屈な講義が始まり、大学に持っていた期待と現実のギャップを改めて思い知らされる。

大学と言うものは入るまではものすごく楽しくて、人生で一番楽しい時間だって聞いていたし、そう思っていたけど、入ってみると楽しくはあるけど思ったよりは退屈だった。


夢のセカイに行ってみたい。

こんな事を考えてるなんて大学生として恥ずかしいと思うんだけど、少なくともここよりは退屈はしなさそうだと僕は思う。


「また夢のこと考えてんの?」


「ん?あー、そうそう。ちょっとね今日は特に気になっちゃって」


浩幸にはついうっかり夢のことを話したことがあった。そしたら意外にも


『ふーん。で、どんな夢??俺、子供の時好きだったから恐竜とかも結構詳しいんだぜ』


とか抜けた事をニカっと笑い言うから、それからはこいつにたまに夢の話もすることにした。

普通は笑うだろ。バカにするだろ。結構変な奴だと思う。


「今日さ、ついに夢の世界で人間をみたんだ。」


「へぇー、すげえな。んじゃぁ、恐竜とかは?やっぱ隕石で絶滅?」


そう言われ頭の中で記憶を呼び起こす。


恐竜ねぇ、人に気を取られて意識してなかった。でも、当然絶滅したんじゃ…ぁ?いや…そう言えば一瞬視界のはしに…あ。


「いた」


「マジか!!いやぁ~人の世に恐竜ねぇ!わはははは。それいいわ!!」


「ドラゴンがいた」


「はぁ??」


「恐竜かとおもってスルーしちゃったけど、よくよく考えるとドラゴン…みたいなのもいた気がする…」


「いや…、スルー??」


いや、実際もはや僕の中じゃ恐竜は珍しいものじゃなくなってて…

でも、あれは確かに恐竜からさらに進化したドラゴンなんだと思う。


ほどなくして退屈な講義は終わった。


帰り道、浩幸と途中で別れ家に向かい歩いていた。

「はぁ~、ドラゴンかぁ…、折角現実をなぞって来たように思えた夢もやっぱ妄想か。

ってか、今朝からエルフっぽいのもいたっけ。」


いやいや、まるっきしファンタジーじゃん。


僕はファンタジーが好きだ。漫画でも小説でもゲームでも。

ただこの夢は現実に起こった生命の神秘を見られるから凄いと思ったのに…

まぁ大昔の生き物なんてわからないから現実の真偽は分からないけどさぁ…結局ただの夢になのかなぁ…。

ふとそのとき今朝の夢の終わりを思い出した。


「あのとき…」


~夢~


今日もいつものように世界を見つめる視線となって、世界をぐるっと回っていた。

そのときだった、突如視界が白く霞んでいきフェードアウトしていったのだ。


起きるときは意識が上から引っ張られるように覚めていき、パッと目覚める。

そのため悠は直感的にこれは目が醒めるわけではないことを理解した。


そして気がつくとそこは白い空間だった。永遠に白が続く世界。そこに悠は立っていた。


「身体がある……」


ふと悠は自分が「視線だけの状態」ではなく、身体を持ってそこに立っていることに気がついた。


(これも僕の夢の中…?)


悠はしばらく辺りを見回していたが白いだけで何も変わらない。


「ちょっ、何も起こらないの!??」


さすがに暇を持て余し始めた頃。正面の何もない白い空間から光がこぼれ輝きはじめた。


「うわっ、まぶっ」


『待たしたね。』


ふと声がしたと思うとそこには白いコートに身を包んだ初老の男がいた。


「え、(だ、誰!?これ僕の夢だよね!??)」


『驚かせて済まない。君は、ナナヤ ユウ君だね。』


男は動揺している悠の様子をみると微笑み、落ち着いた声で語りかけた。その様子に悠も落ちつきを取り戻し…


「は、はい!!七矢悠ですけど…。あなたは…か、か、か、神様ですか!?」


男はクスリと笑い説くように告げた


『私は神とは違うんだ。言うならば私はセカイ。君が住む世界そのものだ。』(そして…君もね。)


「セカイソノモノ??」


悠は男の言った言葉を理解できず、ただ復唱することしかできなかった。


その瞬間、


「い!?」


引っ張られる!?これは…あっ、まさか!そんな…

悠はとっさに男へと振り向いた。


最後まで聞かねばならない。


とっさに何故かそう思ったからだ。

男は微笑みを崩さず告げた。


『君の身体が目を覚ますようだね。

私には君に伝えねばならぬ事がある。

しかし今はもう時間がない。

目覚めたとき、もし君が私のことを覚えていられたら、天見山に祭られている祠まで来てくれないか?』


~~~


そこで意識は覚醒し、目が覚めた。目が覚めて、学校に行く途中それまでの夢について思い返していたときはまだ少し覚えていた気がする。

忘れたのは、あっ…浩幸に話しかけられたときだ。あいつめ…


でもそのとき既にうろ覚えだった気もする。酷い違和感がある。何かおかしくないか??今まで夢を忘れた事はなかった。その瞬間、ふとあの男の言葉がよみがえる。


『もし君が私のことを覚えていられたら』


「覚えて…いられたら…??」


悠は足を止めた。

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