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まわれっ!!!

作者: 高峰 歌歌

 がちゃ――

 とことことこ。


「…………」

「zzz」


 ゴン!!

 ……これは予想外だぜ。


「……痛い」

「朝」

「起こすなら……先に声をかけてから起こしてくれ」

「蓮はこっちのほうが……その、気持ちいいでしょ?」

「っよかねぇ!! けほっけほっ……」


 ううっ。寝起きで大声をだすのはツライ。

明のやつも、そんなキャラじゃない癖にもじもじと顔赤くして言いやがって。


「それより朝食で来てるから早くきてね」

「言っておくが俺は変態ではない」

「さっさときてね」


 俺の言葉をかるく流し、さっさと部屋を出ていく明。

そう、それでこそ俺の幼なじみである月日 明の日頃の態度だ。

憎たらしい。それとトビラ閉めろ。


「はぁ」


 学校サボろかなぁ……。


「サボったら殺す」

「学校サイコー!」

「それはよかったわね」


 顔だけ出してじと目で睨みつける明にかるく恐怖を覚え、心なき言葉で答える。いわゆる棒読みというやつだ。

つーか心を読むんじゃねーよ!!


「幼なじみなんだから当たり前でしょ」

「当たり前じゃ! ってだから読むなよ!」

「いまさら何を」

「いまさら!? 今までも読んでたのか!?」

「当然」


 グッジョブポーズ。


「自慢げにいうな~~~!!」




>>






 ここでナレーション

 彼の名前は川瀬(かわせ) (れん)冬樹の両親は今海外に旅行中だ。子供のころからずっとそうだったのでいまさら気にしない。

 そんな冬樹を心配してくれている? のか冬樹の幼なじみである月日(つきひ) (あかり)が、冬樹の家に住み込んでいる。


「ここからの方が学校に近いのよ」


 ナレーションにまで入らないでください。


「イジワル」


 許します。


「許すなよ」


 だまれ小僧!!


「このやろうっ!」

「だまれ」

「はい」


 ありがとう明さん。

 学校から近いということで明さんの家に住み着いてる冬樹が――


「逆!! だからな」


 …………はぁ。


「なんでため息がでんだよ!?」


 明さんが冬樹の家に住み着いて1ヵ月。なのに冬樹ヘタレのせいで全く2人に進展がない。


「こいつも流しやがるし……あとヘタレじゃねぇよ」


 そんなヘタレ(冬樹)「もはや名前がヘタレになってるじゃね~か!!」と明のほのぼのとした関係のお話。


 ナレーション終了


「ちょ、おまっ!!」


 終了






 >>





「なんかムカつく」


 自分でもよくわからない怒りを覚えたが、気にしたら負けだと言い聞かせ、窓にかけてた制服を取る。


「うん、ふかふかだ」


 おひさまのにおいをたっぷり吸い込んだ制服に、ほんのり顔がゆるむ。


「っと、怠けてる場合じゃない」


 明の怒りパラメータがマックスになる前に、さっさとしたくしないと。明は時間厳守主義者だからな。

そんなことを考えながら着替えを済ませ、リビングに降りると、すでに2人分の朝食が並べられていた。


「おそい」

「すみません」


 とんとんとテーブルを指でたたくながら、あきれた顔で見る。20パーってとこかな?


「ったく、はやく食べるよ。時間がないから」

「時間ねぇ……」

「なによ?」

「いや」


 時間を気にしてるのに、自分の朝食に一切手をつけていない。なんだかんだで待ってくれるところが明のいい所かな。ちなみに今は7時37分。学校にはまだまだ余裕の時間。

明のいい所をまた一つ見つけ(悪いところはいっぱいあるが…)向かいの椅子に座る。


「はやくして」

「はいはい」


 明にせかされ、ゆっくりと両手を合わる。明も同じように手を合わせ――



「「いただきます」」





 >>






「ところで明、おまえいつも何時くらいにおきてんだ?」

「きたない……」

「むっ――」


 くちに含んだものを、こくこくとオレンジジュースで流し、もう一度同じ質問をする。


「いきなり何よ?」

「いや、こう毎朝朝食を作ってくれるのは、うれしいけど……正直つらいだろ。だからこれからは家事などは交代制でやっていかないか?」

「朝起きられるようになったらね」

「それは///……なんとか………がんばる……」

「がんばってほしいものね」


 いかにも期待してません。という顔で食事をすすめる明。

とはいえ、普段の俺のだらけっぷりを見ると、そりゃ信用できないわなぁ。

うう、事実なだけに余計に苦しい。

 しかし甘えっぱなしというのは俺としても心苦しい……明も迷惑だと思っているのではないかと考えてしまう。


 複雑。



「それに――」

「ん?」

「――それにこうやって毎日朝食をつくるってのも、案外楽しいものよ」

「……そんなものか?」

「そんなものよ」


 朝早くから朝食を作ることが楽しい? 俺にはわからないな。


 ぱくっ、……ジィ―――――


 明に見られてる。なんで?

なんとなく俺も見つめ返した。


 ぱくぱく、ジィ――――――――


 じぃ――――――――プイッ


 うっ、あまりの恥ずかしさについそらしてしまった。


「なんだよ!!」


 あまりの恥ずかしさに、つい声を荒げてしまう。

すると明が――



「惚れた?」

「なんでだよ!!」

「おかしいわね」



 そう言って不思議そうに首をかしげる明。

今のお前のほうが不思議だよ。


「男の子って女の子に見つめられるとすぐ惚れるものだと聞いたのだけど……」

「そんなわけあるか!!」


 いや、あるよ。正直ちょっとドキッとしたし……。

だってカワイイもん……。


「家事が得意な女の子ってどう思う?」


 今度は明が唐突な質問をしてきた。


 色々と突っ込みたい気持ちを抑え、俺は普通に答えた。


「どうって、そりゃ魅力的だよ」

「へぇ――」


 さっきより一層強く見られている。だからなんで?


「笑顔で朝食を作れる私って、将来素敵なお嫁さんになれるわよね」

「自分で言「惚れた?」って! なんでそうなるんだよ!!」


 こいつ、一体どうしたいのだ?


「おまえは「さっ、あまり時間がないから早く食べて」んなっ!!?」


 見ると明はすでに朝食を済ましていた。

こいつ、いつのまに食事を済ませてやがった!!


「おまっいつのまに――」


 すると明が、ビッと時計を指差した。

時計を見るとすでに8時を回っていた。


「えっ? うそ……」

「言ったでしょ? 時間ないって」


 さすが時間厳守主義。このことまで計算済みとは……。

って、言ってる場合じゃない! これ以上言い争っいると確実に遅刻になる。それだけは何としても避けなければ、うちの担任は怖いのだ。


 ガチャ。


「先に行くわよ」

「へっ?」


 バタン。

置いて行かれた!! やばっ!! 

僕はあわてながら朝食を取り(というか流し込んだ)急いで支度した。


「はやく追いつかなきゃ――」


 そう思って玄関を飛び出したが、その考えは無駄になった……。



「おそい」

「おわっ!」



 玄関の先には明がいた。


「早く行くわよ」

「っ、ああ」


 時間にはキビしいし、普段は意地悪なことをよくいう彼女だが、朝早くに起きて、朝食を作ってたりと常に相手をのことを考えてくれる優しい彼女。

明と2人でいられるなら、もう少し両親には海外旅行を楽しんでいてもらいたいなどと、親不幸なことを思う。


「あなたがいないと誰が自転車をこぐのよ」

「僕はおまえのアシじゃない!!」


 訂正、やはり明はただの意地悪な女の子だった。父さん母さん、はやくかえってきてぇ~。



拙い文章ですが、ここまで読んでくれてありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
[一言] よく人の行動を見てそれを適切に変換してる方の文章だと思いました。棒読みで話すことを「心のない言葉」で表現されていたのはウマイ!と感心してしまいました。 これをいかに文章の中に刷り込ませるかで…
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