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落ちこぼれ理論士、戦闘ログで世界のダンジョン構造を解析する 〜倒せない敵は設計で崩す、都市防衛から国家建設へ〜  作者: 空条ライド


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第28話 帝国の実験都市

 主核の前。


 巨大な結晶が、静かに脈打っている。


【主核出力:安定(高)】

【帝国側核反応:増大】


 俺は目を閉じ、ネットワークを広域表示に切り替える。


【七核ネットワーク 拡張可視化】


 王都主核を中心に、光の線が世界へ伸びる。


 そのうち一本。


 西方。


 赤黒く染まった波形が、明らかに異質だ。


「ここだ」


 石板に印を打つ。


「ヴェルクス帝国、西部辺境都市」


「……やはり実験都市か」


 ルドガーが低く呟く。


 エリシアが補助術式を展開する。


「供給周期は?」


「2.3秒。意図的に加速」


「臨界まで?」


【推定:3時間未満】


「三時間ない」


 リリナが顔をしかめる。


「止めないと街が消える」


「帝国はどこまで計算してるんだ……」


 俺は赤黒い波形を凝視する。


 人工的に揃えられた周期。


 無理やり引き上げられた出力。


「制御実験だ」


「成功すれば?」


 エリシアが問う。


「核を兵器として完全運用できる」


 沈黙。


 それはつまり――


 任意の都市を崩壊させられるということ。


「遠隔で抑える」


 俺は決断する。


「王都主核の位相を0.07秒ずらす」


「微細すぎる」


「だから影響が少ない」


 ルドガーが腕を組む。


「成功率は」


【遠隔干渉成功率:41%】


「上がった」


「なぜだ」


「帝国側の出力が高い分、干渉余地がある」


 エリシアが息を呑む。


「逆流を利用するのね」


「はい」


 主核に手をかざす。


 直接触れはしない。


 だが、ログが同期する。


【主核 位相調整準備】


「失敗すれば?」


 リリナが小さく聞く。


「王都が揺れる」


「それだけ?」


「最悪、王都も暴走」


 彼女は笑う。


「スケールでかいなあ」


「笑い事じゃない」


「でもやるんでしょ?」


「やる」


 エリシアが横に立つ。


「補助する」


 ルドガーが短く言う。


「許可する」


 空気が張り詰める。


 遠方の赤黒い波形が急上昇。


【実験都市 臨界接近】


「今だ」


 俺は位相を0.07秒ずらす。


【主核 位相変更】


 巨大な結晶が一瞬だけ強く光る。


 地下空間が震える。


【七核ネットワーク 共鳴】


 遠方の赤黒い波形が揺らぐ。


「効いてる!」


 エリシアが叫ぶ。


【帝国側出力:乱れ】


 だが。


【帝国側核 再同期開始】


「向こうも調整してる……!」


「誰かが操作している」


 俺は歯を食いしばる。


 赤黒い波形の奥に、もう一つの意志を感じる。


 理論的。


 冷静。


 こちらの干渉を読んでいる。


「……設計者」


 同じだ。


 向こうにも、構造を理解している者がいる。


 位相をさらに0.03秒追加。


【主核 再調整】


 王都がわずかに揺れる。


 リリナが壁に手をつく。


「うわ、これ王都民気づくレベルじゃ」


「限界ギリギリ」


 エリシアが補助陣を強化。


「あと一押し」


 遠方の波形が激しく乱れる。


【実験都市 出力低下】


「落ちろ……!」


 最後の微調整。


【遠隔干渉 成功】


 赤黒い波形が、急速に弱まる。


【実験都市 臨界回避】


 地下空間に静寂が戻る。


 主核の脈動が安定する。


【主核出力:安定(高)】


 成功した。


 だが。


 ログの奥で、微かな反応。


【帝国側 観測反応】


 向こうも、こちらを認識した。


 エリシアが静かに言う。


「今ので、向こうも気づいた」


「誰が干渉したか」


 ルドガーの目が鋭くなる。


「戦争だな」


 物理ではなく。


 構造の。


 思想の。


 俺は主核を見上げる。


 遠く帝国で、同じように核を見つめる誰か。


 制御か。


 利用か。


 七核を巡る設計戦が、始まった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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