第26話 王都へ
出発の朝。
ラーディアの城門前に、見送りの人々が集まっていた。
歓声というより、静かな感謝。
救われた街の空気は、柔らかい。
アーサーが前に出る。
「ラーディアは君を忘れない」
「忘れてもらって構いません」
俺は答える。
「必要なら、また設計します」
アーサーは笑う。
「欲張りな設計者だ」
固い握手。
「いずれ、国家同士で手を組もう」
「その時は、都市をひとつください」
「……本気か」
「本気です」
リリナが呆れた顔をする。
「もう国家前提なんだ」
「小さい設計は終わった」
エリシアが横で静かに頷く。
「視野が広がったわね」
馬車が用意される。
王都へ向かう街道は長い。
だが、ここが分岐点だ。
リリナが隣に立つ。
「本当に行くんだね」
「うん」
「遠くに行ってもさ」
少し視線を逸らす。
「隣、空いてるよね?」
一瞬、言葉に詰まる。
エリシアが反対側に立つ。
「国家規模の理論は、簡単じゃないわ」
「分かってる」
「支えが必要よ」
二人の視線がぶつかる。
火花。
だが、今は答えを出さない。
「両方、必要だ」
理論も。
感情も。
設計にはどちらもいる。
ルドガーが馬に乗ったまま振り返る。
「時間だ」
門が開く。
ラーディアの外。
広い世界。
【七核ネットワーク 活動点:4】
【王都地下核 出力上昇】
空を見上げる。
黒い星が四つ。
遠方で、赤黒い光が瞬いた。
「帝国も動いている」
エリシアが低く言う。
「制御か、利用か」
リリナが拳を握る。
「ぶっ飛ばす」
「理論でな」
小さく笑う。
馬車が動き出す。
ラーディアが遠ざかる。
救われた街。
だがこれは通過点。
王都には主核がある。
国家の中枢。
そして、帝国。
【都市設計モード:安定】
【核ネットワーク可視化:断片解放】
視界に、より広い線が浮かぶ。
七つの点。
繋がる光。
まだ全貌は見えない。
だが、確実に近づいている。
「次は国家だ」
呟く。
リリナが笑う。
「その次は?」
「世界」
エリシアが静かに言う。
「その時、あなたは何を設計するのかしら」
答えはまだない。
だが一つだけ決まっている。
暴走ではなく、制御。
破壊ではなく、構造。
馬車は王都へ向かう。
七核の物語は、次の段階へ入る。
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