第21話 中央循環の断裂
四基の排出塔が、規則的に脈動している。
2.55秒。
2.75秒。
2.95秒。
3.15秒。
都市上空に四本の光柱が立ち、魔力の流れを空へ逃がしている。
【都市安定化成功率:74%】
【臨界推定:34時間】
だが、まだ足りない。
地下封印室へ駆け下りる。
中央循環――七本目の主経路が、核の周囲を取り巻くように回っている。
「これが最後の問題」
エリシアが静かに言う。
「循環を止めれば、核は孤立する」
「でも止めた瞬間、圧が跳ね返る」
「だから同時に逆流させる」
俺は頷く。
【中央循環 圧力:最大】
「周期は?」
「今は2.4秒まで短縮」
「早い」
リリナが地下入口で剣を構える。
「守護体は?」
「今は出てない。でも来る」
どくん。
核が強く脈打つ。
【供給出力:急上昇】
「来るぞ!」
地面が裂け、黒い霧が渦巻く。
【守護体C 出現】
灰牙洞の個体よりも明らかに大きい。
背中の結晶が、中央循環と直結している。
「中央が本体か」
レオンが低く言う。
「こいつを止めないと循環は断てない」
リリナが笑う。
「じゃあ倒すだけ!」
「無理に突っ込むな」
俺は中央循環の線を睨む。
【循環停止成功率:51%】
「半分か」
「十分よ」
エリシアが言う。
「四基がある今なら」
守護体Cが突進。
地下室の柱が砕ける。
「散開!」
レオンが受け止めるが、押し込まれる。
「重い!」
「背中が循環の起点!」
リリナが跳躍。
炎を叩き込む。
【守護体C 損傷率:27%】
だが、即座に回復。
【中央循環 供給強化】
「切れない!」
「まず循環を弱める」
俺は封印術師に叫ぶ。
「中央外周、封印一時解除!」
「え!?」
「解除しないと逆流できない!」
アーサーが決断する。
「やれ!」
封印が一瞬だけ薄くなる。
【中央循環 圧暴発】
衝撃波。
全員が吹き飛ぶ。
だが、流れがわずかに乱れる。
「今だ!」
エリシアが補助陣を展開。
「逆位相最大!」
ティナが震えながら魔力を放つ。
【中央循環 乱流発生】
守護体Cの動きが鈍る。
「カイル!」
「見えてる!」
未来が断片的に浮かぶ。
0.8秒後、循環が最も薄くなる。
「あと一秒!」
レオンとリリナが同時に踏み込む。
「今!」
剣と炎が結晶を叩く。
【守護体C 損傷率:63%】
だが、まだ足りない。
循環が再接続を始める。
【再同期まで:1.5秒】
「止める!」
俺は中央循環の一点を指す。
「そこだ!」
エリシアが即座に理解。
「集中干渉!」
四基の排出塔が、同時に位相をわずかにずらす。
【位相干渉 最大化】
中央循環が白く染まる。
そして――
【中央循環 断裂】
守護体Cの背中の結晶が砕ける。
【守護体C 撃破】
地下室が静まり返る。
核の脈動が、不規則に揺らぐ。
【断片核 孤立状態】
「……成功?」
リリナが息を整える。
「まだだ」
俺は核を見る。
今、供給は断たれた。
だが内部圧が溜まっている。
【内部圧:上昇】
【臨界推定:28時間】
「逆流させてから叩く」
「タイミングは?」
「3秒後」
全員が構える。
四基の排出塔が共鳴。
都市全体が震える。
どくん。
核の鼓動が、わずかに止まる。
「今だ!」
総攻撃。
剣、炎、氷、逆位相、補助陣。
【断片核 損傷率:38%】
初めて削れた。
エリシアが小さく息を吐く。
「やっと本体に届いた」
だが、まだ半分もいっていない。
【都市安定化成功率:78%】
上がっている。
あと一押し。
都市の心臓は、確実に弱っている。
だが同時に――
【遠方核反応 微増】
視界の端に、新しい波形が浮かぶ。
「……?」
「どうしたの?」
エリシアが問う。
「王都方向の圧が、わずかに上がった」
彼女の表情が変わる。
「連動している……」
ラーディアだけの問題ではない。
だが今は。
「まずはここを終わらせる」
断片核が、再び脈打つ。
都市設計戦は、最終局面へ入る。
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