第20話 排出塔四基、都市再設計開始
臨界まで四十二時間。
ラーディア中央広場は、戦場と工事現場が同居したような混乱に包まれていた。
石材が運ばれ、魔導金属柱が並び、研究局の術式陣が空中に展開される。
「排出塔は四基。南・東・北・中央外周」
俺は地図を広げ、石板に線を引く。
【都市構造解析 拡張表示】
断片核から伸びる七本の主経路。
三本は南区へ集中。
一本は東市場。
二本が北へ。
残り一本が中央地下を循環。
「南を優先的に逃がす」
エリシアが即座に補足する。
「中央循環は最後に崩す」
「先に崩すと都市全域が揺れる」
「同意」
理論が自然に噛み合う。
リリナが腕を組む。
「なんかもう夫婦みたいだね」
「ち、違う!」
思わず声が裏返る。
エリシアは一瞬だけ瞬きをし、冷静に言う。
「効率の話よ」
レオンが苦笑する。
「集中しろ」
その時、南区から爆音。
【都市守護体 再出現】
【個体数:2】
「増えた!?」
ミレイが眉をひそめる。
「供給が強まってる」
「四基目を急がないと制御しきれない」
アーサーが駆け寄る。
「資材は揃った!」
「第一塔、起動準備」
南区外周。
十メートル級の仮設塔が組み上がる。
金属柱三本、魔導核一基。
「周期2.6秒で設定」
「了解」
研究員が魔法陣を起動。
光柱が空へ伸びる。
【供給圧:微減】
「まだ足りない!」
守護体が建物を破壊しながら進む。
リリナとレオンが迎撃。
「背中の結晶狙い!」
「分かってる!」
炎と剣が交差。
【守護体A 損傷率:38%】
だが回復が速い。
【供給周期:2.5秒】
「短縮してる!」
エリシアが叫ぶ。
「第二塔、即時起動!」
東市場外周。
第二塔が光を放つ。
【供給圧:分散開始】
南区への集中がわずかに緩む。
「今だ!」
レオンが一気に踏み込み、守護体Aを斬り裂く。
【守護体A 撃破】
だが、もう一体が咆哮。
地面が割れる。
【守護体B 暴走率:上昇】
「中央循環が太くなってる」
俺は歯を食いしばる。
「第三塔を北へ」
「了解」
北外周で建設中の塔が完成。
【第三塔 起動】
三基が時間差で脈動。
2.6、2.8、3.0秒。
魔力流が立体的に変化する。
【都市安定化成功率:63%】
「上がった」
「まだ足りない」
エリシアが言う。
「中央循環を断たないと」
「第四塔で逆位相」
中央外周。
最後の塔。
だが。
【供給暴走兆候】
地下封印室から強烈な衝撃。
地面が揺れる。
「核が出力上げてる!」
【臨界推定:36時間】
「早すぎる……!」
俺は塔の周期を再計算する。
【最適位相:2.55 / 2.75 / 2.95 / 3.15】
「0.05秒単位でずらす」
「そんな精度で合わせられるの!?」
リリナが叫ぶ。
「やるしかない」
エリシアが即座に補助術式を展開。
「研究局、補正陣展開!」
空中に巨大な円陣が浮かぶ。
「今よ!」
第四塔、起動。
四本の光柱が空へ。
【位相干渉 成立】
一瞬、都市全体が白く染まる。
そして。
【供給周期:不安定化】
核の脈動が乱れる。
「効いてる!」
ミレイが叫ぶ。
守護体Bの動きが鈍る。
「今!」
リリナが跳び、炎を叩き込む。
レオンが追撃。
【守護体B 撃破】
静寂。
だが地下の核はまだ生きている。
【断片核 損傷率:0%(未接触)】
「塔は成功。でも根は残ってる」
エリシアが息を整える。
「最後は地下」
「分かってます」
アーサーが剣を握る。
「俺も行く」
「領主は地上で」
「いや、これは俺の街だ」
その目に迷いはない。
俺は頷く。
四基の排出塔が、時間差で脈動する。
都市は今、巨大な魔法陣。
設計は完成した。
あとは――
「地下で、心臓を止める」
【都市安定化成功率:74%】
臨界まで三十六時間。
都市再設計は最終段階へ入る。
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