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第7話 腐敗の根っこを探りに行ったら、国の暗部が想像よりヤバかった件

 大陸Bの特使が残した言葉が、

 その日の王都をざわつかせていた。


「魔王軍ではない。

  二百年間、この国を歪めてきた“第三勢力”がいる」


 王国愛護騎士団は

「お、おおう……我らは最初からそう思っていた!!」

と意味不明な後付けを叫んでいたし、


 外交部は

「ええと……これは誤解を与える外交情報で……」

とロマーノ卿の真似を始めていた。


(全部ブレブレなんだよなぁ)


 そんな混乱の中——

 俺とエリシアだけは、奇妙な確信を共有していた。


「ユウト、“歪めてきたもの”って……」


「たぶん、“あれ”だろ?」


■『第0号成長戦略案』

──最大封印・閲覧禁止。

──二百年前、突然“歴史から消された”文書。


(あの文章の途中で切れた一文……)


『この国の停滞の原因は、“魔王”ではなく——』


(その続きを読めば全部つながる気がする)



■ 第三勢力の候補地:“禁書倉庫”


 俺とエリシアは王城の奥深くへ向かった。


 そこには一般官僚でも近づけない

禁書倉庫レッドアーカイブ

がある。


王国愛護騎士団

「勇者よ、お前たちが行け!!

 我らは外で応援している!!」


(出たよ……戦わない愛国)


エリシア「……静かにしてほしいわね」


書類監査眼:

【王国愛護騎士団の“応援”:役に立たない】



■ 武装した衛兵に止められる(政治家ムーブ発動)


禁書倉庫の前には重厚な扉と武装した衛兵。


衛兵「立ち入り禁止だ。王命の許可が無い者は——」


ドランゴ議員がどこからともなく現れて

胸を張った。


「無礼者!!

 勇者殿は我が“強国至上同盟”の名誉顧問である!

 通せ!!」


俺「いやそんな覚えないんだけど」


書類監査眼:

【ドランゴ議員が勝手に顧問扱い:確定】

【権威の私物化:深刻】


衛兵「しかし、規定では——」


ロマーノ卿

「その規定は誤解を与える表現だった!」


衛兵

「いや、規定に誤解は——」


ロマーノ卿

「真意は“勇者は通しても良い”という意味だ!!」


(真意って何だよ)


書類監査眼:

【規定の改ざん:議員の脳内のみ】



■ 扉が開く。そして“異臭”がする


衛兵は最終的に折れた。


——ギギギ……。


扉が開くと、湿った空気と重い紙の匂いが流れ出した。


禁書倉庫。

架蔵されているのは、王国にとって“都合の悪い歴史”ばかり。


古びた魔導ランタンが薄暗く照らす。


エリシア

「ここ、……来たことはあるけど……

 こんな空気じゃなかったわ」


俺「空気って変わるの?」


エリシア

「“事実を隠すほど、部屋が濁る”のよ」


書類監査眼が起動。


【空間に異常反応】

【魔術的封印:複数】

【“人の意図による改ざん”を検知】


(あー……これ絶対ろくなことになってない)



■ 歴史書の断片…しかし全部“誰かに修正されている”


棚の奥から、ある文書を引っ張り出した。


『王国史 第七巻(修正版)』


エリシア「……これ、“修正版”ってことは元があるはずよ」


俺はめくってみる。


——ページのほとんどが空白だった。


(嫌な空白だな)


端の脚注だけ残っていた。


『※前王の改革案は危険思想として削除』


(削除!?)


書類監査眼:

【削除:政治的理由】

【危険思想:国の成長計画】

【王国にとって不都合:極大】


俺「これ……“改革案”全部消されてるの?」


エリシア「ええ。予想通りだったけど……

 こんな露骨に消された形跡が残ってるなんて」


(消したやつが雑だったのか?)


書類監査眼がさらに光る。


【削除作業の痕跡:新しい】

【『二百年前』ではなく『最近』】


(……待て)


俺「最近……?」


エリシア「つまり、二百年前の封印は“最新の誰か”がいじってる可能性がある」


(おいおい……)



■ 謎の“黒い墨線”


さらに奥へ進むと、

棚の下に埃をかぶった大きな書類箱があった。


『成長戦略・原本(封印)』


俺「これ……」


エリシア「第0号の元データかもしれない」


震える手で開ける。


中には数十枚の古びた羊皮紙。

しかし問題は——


ほとんどの箇所が黒い墨線で塗りつぶされていた。


(黒塗り……情報公開請求かよ)


書類監査眼:


【黒線:魔法的隠蔽】

【隠匿した者:不明】

【動機:政治的/思想的】

【本来の内容:成長阻害の“根本原因”】


エリシアが息を飲む。


「ユウト……これ、“魔王のせいじゃない”って、ここにも……」


黒線の隙間からほんの一部だけ読めた。


『……魔王ではなく、

   王国の中枢に……』


(本当に“内部に原因”があるんだ)


その瞬間、

背後で“カツン”と靴音が響いた。



■ 黒幕の一端が姿を見せる


「……勇者殿。監査官エリシア。

 あなた方には、少し余計なものを見ていただきましたね」


冷たい声。

扉の前に立っていたのは——


黒いローブの男。

胸には王国紋章ではなく、見慣れない徽章。


エリシアが青ざめる。


「……あなた……“禁史院”の……!」


俺「禁史院?」


エリシア「王国の“歴史管理部門”よ。

 二百年前に作られたはずなのに……

 記録はほとんど残ってない、幽霊みたいな機関」


男は笑った。


「幽霊? 違いますよ、監査官殿。

 我々は“王国の歴史を正しい形に保つ”者たちです」


俺「正しい形って、黒塗りにすることか?」


「必要なものだけ残すのです。

 余計な成長や余計な改革は混乱を生む……

 私たちは二百年間、この国を“安定”させてきた」


書類監査眼:

【“安定”:停滞の婉曲表現】

【黒塗りの実行犯:禁史院】

【国家停滞の核心に関与:濃厚】


(ついに出てきたな……本物の黒幕)


「勇者殿。あなたの成長率は危険です。

 “前例のない成長”は、国を混乱させる」


「でも成長しない国に未来はないだろ」


「未来が必要ですか?」


(うわ……出たよ……)


エリシアが震える声で言った。


「あなたたちは……

 本当にこの国を“二百年間止めてた”のね……!」


男は静かに頷いた。


「混乱よりも停滞のほうが安全です。

 国民の幸福のために“変革”を排除した。

 それが我々の役目です」


(いや地獄じゃねぇかそれ)


「勇者殿。撤退しなさい。

 あなたが動けば、この国に“前例”が生まれる。

 それを我々は許さない」


書類監査眼:


【禁史院:前例絶対阻止主義】

【停滞を“維持”し続ける組織】

【国の成長は意図的に止められていた】


「……は?

 二百年間、日本……じゃなくて王国が成長しなかった理由、

 お前らのせいかよ?」


「はい」

堂々と言いやがった。


(胸張って言うことじゃない!!)



■ 次回への“最大級の布石”


男は背を向けた。


「——あなた方がここで見たもの。

 我々は必ず“無かったこと”にします」


エリシア

「逃がさないわよ!」


だが、男の足元の魔法陣が光った。


「ではまたお会いしましょう。

 “前例のない勇者”殿」


 瞬間移動。

 姿が消える。


「うわ、都合悪くなると逃げるタイプ……」


書類監査眼:


【禁史院:情報操作能力・極大】

【今後の妨害:確定】


エリシア

「ユウト……

 この国の停滞の根、本当に掴んじゃったわね」


「じゃあ——掘り起こすしかないだろ」


禁史院。

黑塗り。

停滞維持。

前例絶対主義。


二百年止まった国を、俺が動かす。


——第7話 完

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