第6話 大陸Bの使者はまともなのに、こっちの政治家が終わってた件
王城の会議室に案内されると、
中はもうすでに“面倒くさい人たち”でいっぱいだった。
円卓の片側には王国の官僚。
その後ろに王国愛護騎士団(※傍観者ポジ)。
そして中央付近に、例の2人が座っていた。
強国至上派・ドランゴ議員
発言修正の魔術師・ロマーノ卿
(……やばい。見ただけで頭痛い)
そして反対側には、
落ち着いた黒い礼装を着た“大陸Bの特使”。
一目見て分かった。
こいつ、まともだ。
(というか、この部屋で唯一まともな生き物では?)
■ 開幕から全力で迷惑な王国政治家
「本日はご足労いただき感謝いたします」
特使は丁寧に頭を下げた。
しかしその瞬間——
ドランゴ議員が立ち上がり、机をドンッッと叩いた。
「無礼者!!
頭を下げても許されると思うなよ!!」
特使「……えっ!?」
俺(今なんもしてないよな!?)
ドランゴ議員
「そもそも貴様ら大陸Bは怪しい!
国境付近で商隊を動かすなど侵略行為だ!!
断固として強く抗議する!!」
(出たよ“断固として強く抗議する”の口だけカード……)
書類監査眼:
【大陸B商隊の目的:交易(99%)】
【王国側が勝手に騒いでいるだけ:確定】
【政治的パフォーマンス度:100%】
特使
「そもそも、我々は交易の再開を——」
ロマーノ卿が割って入る。
「それは誤解を与える表現だった!」
特使「まだ何も……」
ロマーノ卿「あなた方の言葉は常に誤解を与える!
そういう“言い回し”は紛らわしいのです!」
特使「(言ってない……)」
俺(やべぇよこの国の議員……)
書類監査眼:
【誤解の原因:特使ではなく王国側】
【ロマーノ卿の発言修正魔法:本日12回目】
エリシア(小声)
「彼らは“自分が理解できない言葉は全部相手のせい”という思考よ」
俺「もう病気じゃん……」
■ 特使の冷静さ vs. 王国のカオス
特使は必死に話を軌道修正しようとする。
「我々は王国との友好関係を何より重視しており——」
ドランゴ議員
「友好!? そんな甘言に騙されるか!!
勇者よ! 貴様が前線に出て大陸Bを監視するのだ!!」
俺「なんで俺だけ……?」
王国愛護騎士団
「勇者が行けーッ! 我らは後ろから応援している!!」
(応援いらねぇんだよ!)
書類監査眼:
【愛護騎士団:戦闘実績 0】
【応援実績 3000】
【自己犠牲精神:0%】
【勇者依存度:400%】
エリシア
「つまり“自分は戦わずに他人を戦わせたい”のよ」
俺「言葉通りのカスだな……」
■ 特使、事実を出す → 王国政治家、逆ギレ
特使は静かに巻物を取り出した。
「こちらをご覧ください。
これは大陸Aが王国領内に軍船を複数回侵入させた記録です」
会議室が一瞬静まる。
(え、大陸Aのほうがよっぽど危険じゃね?)
書類監査眼:
【大陸Aの条約違反:多数】
【王国側の抗議:0回】
【大陸Aの要求:一方的】
俺「完全に虎の威を借る狐じゃん……」
しかしドランゴ議員は顔を赤くして叫んだ。
「そ、それは大陸A様の“深いご意向”によるものだ!!
侵入など侵入ではない!!
むしろ守ってくださっているのだ!!」
書類監査眼:
【侵入は侵入です】
【守っていません】
【現実:ねじ曲げ中】
特使「……では、なぜ我々の商隊だけ“侵略”扱いなのですか?」
ロマーノ卿がゆっくり立ち上がる。
「それは誤解を与える表現だった!!」
特使「いや、貴方が言ったのですが……」
ロマーノ卿
「真意が正しく伝わらないのは“そちら側”の責任でしょう!」
(出た。責任転嫁の魔術師)
書類監査眼:
【責任:ロマーノ卿】
【誤解:なし】
【発言修正:本日13回目】
■ 特使、国の“とんでもない誤解”を示す
特使「……ここまで言うなら、もう核心を申し上げます」
空気が変わった。
「“魔王軍の進軍”と騒いでおられますが……
その部隊、我々の斥候が確認したところ——」
ゴクリ、と誰かが喉を鳴らした。
特使
「——魔王軍ではありません。
王国側の“誤認”です。
旗が似ていただけの、別の部族です」
王国側
「……………え?」
書類監査眼が光る。
【王国側の誤情報確定】
【“魔王軍進軍”の根拠:伝聞のみ】
【外交部の確認作業:未実施】
エリシア
「……やっぱり、そうだったのね」
俺
「は!? じゃあ今の騒ぎ全部……?」
特使
「全部、誤解です」
王国愛護騎士団
「ちょ、ちょっと待て……我らは……」
書類監査眼:
【“言い訳モード”への移行を検知】
【責任逃れの準備:進行中】
■ ドランゴ議員の“威勢だけ政治”が崩壊
ドランゴ議員
「ま、魔王軍ではなかった……?
では……我々が“断固抗議する”と言ったのは……?」
書類監査眼:
【断固抗議:事実無根】
【強がりの崩落】
ドランゴ議員
「ちょ、ちょっと誤解を与える表現だっただけだ!!」
ロマーノ卿
「それは私の専売特許だぞ!!!」
(何争ってんだこいつら)
■ そして、ついに王国が“公式に間違っていた”ことが確定する
特使
「我々は敵ではありません。
むしろ王国に“真の脅威”を伝えるために来ました」
エリシア「真の脅威?」
特使「はい。魔王軍ではありません。
——王国の内側に、二百年間何かを歪めてきた“第三勢力”がいる。
その情報をお届けに参ったのです」
(来た……完全に核心に近づいたぞ)
書類監査眼:
【関連:第0号成長戦略案】
【“魔王ではない存在”の関与:濃厚】
俺
(やっぱり……魔王はこの国の停滞の本質じゃない)
エリシア
「ユウト。これはもう……調べに行くしかないわね」
俺
「行こうぜ。
王国の腐敗の正体……ぜんぶ暴いてやる」
王国愛護騎士団
「勇者が行けー!! 我らは安全な場所で応援している!!」
(黙れや)
——第6話 完




