初めての外来と診断への不安
退院後、初めての外来受診の日。あやと健太は双子を抱えて小児科の待合室に座っていた。赤ちゃんの服はまだ小さく、抱き上げるだけでも重さがずっしりと感じられる。
「最近、ちょっと気になることがあって…」
あやは小さな声で健太に囁く。片方の赤ちゃんが他の子よりも目を合わせにくく、泣き声のトーンが少し違うことに気づいたのだ。健太は深く息を吸い、「でも、まだ生後間もないから…個性の差かもしれない」と答える。しかしその言葉は、二人の心の中に不安として残った。
診察室に呼ばれると、医師は笑顔で迎えつつも、真剣な眼差しで赤ちゃんを観察する。「反応が少し鈍いですね。でも今の段階では発達の個人差も大きいです。数週間~数か月ごとに観察していきましょう」
ナースの美咲も加わり、赤ちゃんの反応のチェック方法や家庭での観察ポイントを詳しく説明する。「泣き声や視線、体の動きに注目してください。小さな変化も見逃さず、必要があれば早めに相談を」
帰宅途中、あやと健太は赤ちゃんを抱きながら歩く。二人とも疲労で肩が重いが、心の中はさまざまな思いでいっぱいだ。
「あの…もし、本当に発達に偏りがあったら…」
あやの声には不安が滲む。健太は小さく握った赤ちゃんの手を見つめ、静かに答える。「僕たちがいる。どんな道でも、一緒に歩むしかない」
家に戻ると、授乳やおむつ替えの合間に、二人はメモを取りながら赤ちゃんの行動を観察する。泣き方の違い、目の動き、声への反応。些細なことでも見逃さず、二人は互いに情報を交換しながら、少しずつ理解を深めていく。
夜、双子を並べて寝かせながら、あやは涙ぐむ。「でも…どんなに大変でも、この子たちを愛する気持ちは変わらない」
健太も赤ちゃんの手を握り、「二つの命、ひとつの家族だ。どんな困難も、僕たちで支える」と力強く言った。
小さな命の存在が、二人にとっての希望であり、支えであり、何よりも大切な家族の中心であることを、改めて実感した夜だった。




