不安と期待の夜
夜、あやはベッドに横たわり、天井をぼんやり見つめていた。お腹の中で小さなポコポコという胎動が、彼女の胸に小さな安心を届ける。それでも、心の奥には不安が渦巻いていた。
「うまく育つかな…二人とも元気に生まれてくれるかな…」静かに吐き出すその言葉に、健太はそっと寄り添い手を握る。
「大丈夫だよ。今だって元気に動いてるんだから」
あやは目を閉じて深く息を吸い、健太の言葉を心の中で繰り返す。
窓の外には夜の静寂が広がり、遠くで子どもたちの笑い声が響くわけでもない。静かな夜の中、二つの命と向き合う時間は、二人にとって覚悟を確認する時間だった。
健太はそっとベッドに腰掛け、お腹に手を添える。「名前も決めたし、部屋も整った。準備はできてる。でも、やっぱり不安はあるよね」
「うん…でも不安と期待は一緒だよね」とあや。
二人で手を重ね、心の中の緊張と喜びを共有する。ポコポコと胎動を感じるたび、小さな生命の存在が、二人の不安を少しずつ溶かしていく。
その夜、健太は未来に向けて思いを語る。「仕事も大変だけど、二人のためなら何だって頑張れる。君も無理しないでね」
あやは涙を浮かべながら微笑む。「うん、一緒に乗り越えよう。二つの命と、私たちの家族のために」
寝室の静けさの中で、二人は未来を想像する。初めての笑顔、初めての泣き声、抱き上げたときの温もり…。そのすべてを胸に描き、心をそっと温めた。
ポコポコと胎動が伝わるたび、あやは手を当て、「もうすぐ会えるんだね」とつぶやく。健太もそっと頷き、二つの命とひとつの家族への思いを改めて心に刻んだ。
不安もあるけれど、それ以上に期待と愛情で胸がいっぱいになる夜。二つの命は確かに存在し、家族の絆を深める希望となっていた。




