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二つの命、ひとつの家族  作者: 櫻木サヱ
発達障害の確定と療育の本格化

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19/19

療育と日常の両立の難しさ

双子の療育が本格化して数か月が過ぎると、あやと健太の生活は、育児・家事・仕事・療育のすべてが絡み合う日々となった。朝は授乳やおむつ替えで始まり、日中は家庭での療育や散歩、外出時の集団活動、夜は寝かしつけと記録作業に追われる。


「ああ…今日も全然時間が足りない」

あやは赤ちゃんを抱えながら、心の中でため息をつく。健太も仕事の合間に動画を確認し、赤ちゃんの反応を分析するが、やはり疲労が積み重なる。二人で支え合おうとしても、体力と精神の限界を感じる瞬間が何度も訪れる。


療育の目標と現実のギャップに、二人は葛藤する。片方の赤ちゃんは順調に成長するが、もう一人は思うように進まない。家族の中で比較が生まれ、焦りや苛立ちが心の中で芽生える。夜、寝かしつけた後に「ごめんね」と互いに謝り合うことも少なくなかった。


ナースの美咲は訪問時、親の負担を理解し、励ましの言葉を送る。「完璧を目指さなくて大丈夫です。今日できたことを大切にしてください」

その言葉にあやは涙を浮かべ、健太も深く頷く。療育の成果は小さくても、家族で支え合うことで確かな前進があるのだと、改めて認識する。


家庭での療育と日常生活を両立させる難しさは、二人にとって現実の壁でありながら、同時に家族の絆を試す時間でもあった。小さな成功体験、赤ちゃんの笑顔、そして互いへの理解と支えが、疲れや不安を和らげる唯一の救いであった。


夜、静かなリビングで二人は話す。「完璧じゃなくても、少しずつでいいんだよね」

健太はあやの手を握り、「そうだね。二人の命を守るために、今日も頑張れた。それで十分だ」と微笑む。あやも涙をぬぐい、心の奥で深く頷いた。


療育と日常の両立は簡単ではない。しかし、二人で試行錯誤しながら、愛情と工夫を重ねることで、少しずつ前に進む。二つの命を抱く家族として、困難を受け入れ、支え合いながら歩む日々が、確かにそこにあった。

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