家庭での観察と小さな発見
退院してから数週間、あやと健太の生活は赤ちゃん中心になっていた。双子の世話は休む間もなく続き、授乳、ミルク、オムツ替え、寝かしつけのリズムに追われる毎日。夜泣きが重なると、二人はお互いに疲れた顔を見せながらも、必死に支え合った。
「あっ、この子、今泣き声が変わった…」
あやは双子の反応を観察しながら小さな変化に気づく。片方の赤ちゃんは、音に対して反応が鈍く、笑顔も少なめだ。もう一人は元気に手足を動かし、声を上げて笑う。健太はそっと二人を交互に抱き上げ、「同じ家庭にいるけど、性格も反応も全然違うね」とつぶやく。
美咲ナースの助言を思い出しながら、あやは小さな発見を記録する。泣き方、視線、手足の動き…。どんな些細なことでも書き留め、後で医師と相談できるように準備する。
健太もスマホで動画を撮り、家族間で情報を共有しながら、二人で育児の観察を続けた。
そんな日々の中で、小さな「発見」が生まれる。泣き声の変化、抱っこに対する反応、寝かしつけのタイミングの違い。あやは最初の違和感が、少しずつ具体的な形として見えてくることに気づき、胸の中で不安と責任感が交錯する。
夜、二人が寝静まった後、あやは健太にそっと話しかける。「もしかしたら、この子、ちょっと特別かもしれない…でも、どう対応すればいいのか、わからない」
健太は手を握り返し、静かに答える。「大丈夫だよ。二人で考えて、支えていけばいい。どんな道でも、二つの命は僕たちの家族だ」
その夜、二人は抱きしめる赤ちゃんの小さな手と足の温もりを感じながら、家族としての覚悟をさらに深く刻む。
日々の観察や記録、小さな発見が、二人にとっての希望となり、愛情をより強くする原動力になった




