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船旅

ライム王国

大国グランドバレー王国の隣国であり、女王カタリーナが治める絶対王政の国である。

国土はグランドバレーと大差はないが、国土の北半分が低いところで標高1000メートルから高いところで4000メートルの山間部に覆われているため、国の南側にある海に面した平野の人口密度はグランドバレーよりも高い。


そんな隣国同士だが、現在は歴史上最も親密な友好関係にあると評されている。


理由は2つある。


ひとつは、妖怪カウカの厄災から世界を守ったグランドバレー女王のフレイヤと故人である王配アイスはグランドバレー人のみならず、ライム人からも尊敬されているということ。

もうひとつは、カタリーナの第二王女フィオナと、フレイヤの一人息子でグランドバレー王位継承者ペテルが許嫁であるという点だ。


政治的・軍事的思惑が複雑に絡んだ政略結婚ではあったが、同い年同士の許嫁という事実は両国民からは歓迎されていた。


グランドバレー王室が所有する船は見た目は豪華な帆船でありながら、その実は船底に魔法の動力炉を備えたハイブリッド船であり、風がない日でも最大25ノットの速さで移動ができる。


フレイヤとペテルは船に乗り込み、朝から半日かけてのライム王国の首都への船旅に出かけた。

目的地はライム王国の南側にある小さなシード湾にある首都・シードだ。


「オエオエオオエ〜!」

ペテルは苦悶の顔を浮かべ、海へ朝食をぶちまけていた。

何度かライムへ行くために船には乗っているが、9歳になった今でも船酔いにはなれない。


侍女は酔い止めの薬をペテルに飲ませようとするが、「粉薬なんか飲めない!」と頑なに拒否をした。

フレイヤはそんな息子のワガママに付き合いきれず、海を指さし「そのまま魚に餌をあげときなさい」と目線を手元の小説に戻し、放っておいた。


夕方5時。

帆船は8時間の長旅に別れを告げ、シード港の船着き場に無事到着した。

そこにはすでに、ライム王国の官僚や兵士たちが整列をしてフレイヤとペテルの下船を待っていた。

よく見ると、その中心には、カタリーナ女王が立っており、その右隣にはライム王国王位継承者であり第一王女のジュリアが、左隣にはペテルの許嫁である第二王女フィオナが立っていた。


ジュリアは通学する中学校の制服のスカートを極端に短くし、ネクタイもゆるゆるにしめて、かなり『着崩して』いた。


フィオナは可愛らしいピンクを基調としたドレス風の服を着ていた。


下船すると、カタリーナ女王と姉妹が近づいてきた。

「ようこそ。ライムへ」カタリーナはフレイヤに声を掛けるとフレイヤは「お招きありがとうございます」と感謝を述べた。


大人同士の挨拶が終わると、突然フィオナがペテルの片腕に満天の笑顔で抱きついた。

「ペテル、来てくれたのね!」

一気に顔を赤くするペテル。

「ちょ、ちょっと!」と恥ずかしがる。


それを見たジュリアは「相変わらず焼かせるね、アンタたち」とにやけながら冷やかした。

ペテルはジュリアに助けを求めるように「ジュリ姉、そんなことを言わないでよ」というが、ジュリアは首を横に振った。


大人たちはそんな三人をみて笑いあいながら、用意されていたライム城へ向かう馬車に5人は乗り込んだ。

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