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淡いハーバリウム

サトを夢の檻から救ったペテル、エマ、ジェラはその足でヴィアンを救うべくヴィアンの家へ急いだ。

ヴィアンの家はサトの家から歩いて15分ほどの近所にある。

ペテルとジェラはヴィアンとは別のクラスのため、親友とまでは言えないが、顔見知りではあった。

その反面、エマとヴィアンは幼馴染であるため、エマはヴィアンのことをよく知っていた。

そう、ヴィアンはクラスメートのB組リアムに片思いをしているということも。


ヴィアンの家は周りの木造の家とは違い、白いレンガ造りの家であった。

庭には美しい花々や木々が丁寧に手入れをされており、まるで植物園さながらであった。


白い門をくぐり、玄関にノックをするペテル。

出てきたのは、優しそうな顔をしたヴィアンの母親と父親であった。

「王子様とエマちゃんたち……お城からお便りはいただいてるわ。なぜうちのヴィアンちゃんが……」

ヴィアンの母親は玄関で泣き崩れた。

すぐに肩を抱きしめるヴィアンの父親。


ヴィアンの父親は「大人ではヴィアンを救えないと聞いています。殿下、それにエマさんとジェラ君、娘のことを頼みます」と言い、

ヴィアンの部屋へ案内した。


通されたヴィアンの部屋。

白とピンクを基調にした可愛らしいベッドでヴィアンは眠っていた。


ヴィアンの母は彼女の状態について説明した。

「もう3日ほど起きていないの。まるで楽しい夢を見ているかのようにほほ笑むときもあれば、悪夢を見ているかのようにうなされているときもあるわ」


エマはヴィアンの手を握り、誰にも聞こえない程度の声でヴィアンの耳元にささやいた。

「きっとリアムの夢を見ているのね。」


ペテルは首元から夢見の雫を取り出し、ジェラとエマに声をかけた。

「さぁ、行こう」と声をかけ、ヴィアンの夢に入れるよう祈った。


――

3人が目を覚ましたそこは、グランドバレー城の中庭よりもさらに広そうであった。

花にはモンシロチョウやアゲハチョウが舞い、木々の枝にはリスが座り、木の実を食べていた。

その庭園の中央にガーデンベンチがあり、そこに一人の少女と一人の少年が座っていた。


ヴィアンとリアムだ。


しかし、リアムは灰色の肌をしており、顔はどこか暗く、本物でないことは明白であった。


エマは駆け寄り、声をかけた。

その瞬間、灰色のリアムは煙のように消えた。

「ヴィアン、リアムに会いたいのでしょう?でもここに本物の彼はいないわ。ここはドグというオークが作り出した偽物の夢なの。」

ヴィアンは小声で「私、リアムくんと一緒なら偽物でもここにずっといたいと思っちゃったの」とエマに伝えた。

その言葉を聞いたジェラは「本物のリアムのやつなら昨日、小学校に登校していたよ。だからヴィアンも小学校に行こうよ」


しかしその瞬間――

「まーた、君らかぁ。えぇ加減にしてくれんかいのぉ?」とドグが現れた。

『DOG』と自分の名前が書かれたTシャツに、赤いハーフパンツ、それに早く走れそうなブルーとシルバーのラインが入った、男子小学生が好きそうなスニーカーを履いていた。


ジェラは「現れたな!悪趣味なファッションだ」とドグを挑発した。

ドグは夢見の杖を頭上に掲げ、「じゃかぁしいわ!こうなれば君らの夢もくっちゃるけぇの」と言ってきた。

エマは「こっちには女王陛下からみっちり魔法を教え込まれているペテルがいるのよ!」と叫んだ。


エマが叫び始める前に、すでにペテルは呪文の詠唱を始めていた。

スセレ・マジカ(魔封呪文)!」


白い光の矢がドグに突き刺さり、ドグは魔法使用を封じられる。

ドグは「そんなバカな……!」という言葉を残し、白いもやとなってヴィアンの夢から消えた。


エマはヴィアンに抱き着き「夢から覚めようよ」といった。

ヴィアンは「そうだね。早く小学校で本物のリアム君に会いたいな……」とつぶやいた。


その瞬間、白い光があたりを照らした。


――

3人が気が付くと、そこはヴィアンの部屋であった。

ヴィアンはすでに起きており、色鮮やかなハーバリウムの瓶を手に取り眺めていた。

目が覚めた三人にヴィアンは「エマ、ありがとう。それに王子様とジェラ君も。あさっての月曜日から、学校に行くわ。」と微笑みながら語った。

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