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夢を取り戻すクッキー

土曜日の朝、ピタパ、エマ、ジェラはサトの家の前に集まった。

サトの家はメインストリートであるラスク大通りからは少し離れた、寂しい感じがする古びた通りにあった。

木造の家で、エマの話によるとサトの家に遊びに行くときはいつも、サトのお母さんが作る甘いクッキーの香りが漂ってくるらしいのだ。

だが、さすがに今はクッキーのにおいはしてこなかった。


エマが玄関のドアノッカーをたたくと、目元にクマができたサトのお母さんが出てきた。

「エマちゃん……それに殿下とジェラ君ね。話はお城から聞いています。」


エマは前に出て「必ずサトを救い出して見せます。だから、上がってもよいでしょうか?」


サトのお母さんは、わずか9歳である子ども3人に向かって「ぜひとも、お願いします…」と深々と頭を下げた。


三人はサトの部屋に案内された。

サトのベッドにはクマやネコ、イルカなどの可愛らしいぬいぐるみが並び、その中央でサトはまるで熟睡をしているかのようだった。

一見スヤスヤと寝ているようだが、その実、まるで魂ごと檻に閉じ込められたかのようであった。


エマはペテルとジェラに向かって「行きましょう」と声をかけた。

ペテルとジェラは「うん」とだけ声を出し、夢見の雫にむかってサトの夢に入れるように祈った。


―――

次に三人の目の前に現れたのは、綿あめが雲のように浮いて、キャンディーが星の代わりにきらめいている空であった。

そうして、小川では水ではなくチョコレートが流れており、足元はサクサクと軽快な音を鳴らすビスケットでできているようだった。


ジェラはのんきに「なんかうまそうだね。このビスケット食べてみようかな。」

しかしエマに「のんきなことは言わないの!」と怒られた。


そうすると、クッキーで作られた家が見えてきた。

しかし、サトの顔は暗い。


なぜなら、サトの周りのお菓子だけ灰色になり、とてもまずそうだったからだ。


ペテル、エマ、ジェラはサトに向かって走った。

エマは「サト!ここはあなたの夢ではないわ。早く帰りましょう。お母さんも心配しているわ!」

しかしサトは暗い顔をして、「私はお菓子屋さんになるのが夢なの。でも、私がお菓子に近づくとみんな灰色になっちゃうの」


そこに、ザク!ザク!とビスケットの道を踏みつぶして近づいてくるオークがいた。

そのオークは白いパティシエの服を着ていた。

「君らの夢、美味くて好みじゃ」

ペテルは叫んだ。「お前がドグか!」

ドグは驚き、「なんでワシの名前を知っとんじゃ!」と叫んだが、

ペテルは無視をしてコンジェラント(中級氷系魔法)の詠唱に入った。

ドグは「なんでその年でそんな威力の魔法を放てるんかいの!わやじゃ!」といい、姿を消した。


ドグが消えた瞬間、灰色だったサトの周りのお菓子は色を取り戻した。

エマはサトに近づき「おばさんと一緒にお菓子を作って、私たちに食べさせて?」とお願いをした。

サトは涙を流しながら「うん。楽しみにしてね」と返事をした。

その瞬間――光が差した。


気が付くと、三人はサトの部屋で目を覚ました。

すでにサトは起き上がっていたようで、部屋の外から、クッキーの香ばしいにおいがしてきた。

サトは部屋に入ってきて、「助けてくれてありがとう」と言い、クッキーと紅茶を三人にふるまった。

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