目覚めないクラスメート
少女・サトは夢を見ていた。
ふわふわの綿あめで作られた雲が夜空を覆い、キャンディーで作られた星々が輝く。
小川はチョコレートが流れ、その先にはショートケーキとビスケットで作られたサトの家があった。
クッキーで作られたドアを開けると、そこには様々なケーキや紅茶が食卓を彩り、
まるでお菓子の国であった。
サトはいただきます!というとケーキにかぶりついた。
甘い生クリームが口の中を占領する。
砂糖たっぷりの紅茶は普段親から止められるため、今日はとばかりにたくさん砂糖をティーカップに入れた。
そんなサトに近づく不審な影。
背はサトよりも若干高い程度ではあるが、れっきとしたオークであった。
そのオークは山賊のような服を着ており、手には青く光る杖を握っている。
サトははっとしてオークに顔を向ける。
オークはククク……と笑い、
「えぇのぉ。子どもの甘い夢。その夢を食っちゃる!」
目の前のケーキやビスケットがだんだんと灰色になり、朽ちていく。
「やめて!」と叫ぶが、その声は届かない。
「ワシの名前はドグ!お前の夢、ワシの夢見の杖で食らいつくしてやるけぇの!」
ドグはにやりと笑い、杖を頭上に掲げた。
―翌日―
王立学院小学校4年A組
ペテル、エゼ、エマ、ジェラが通うクラスである。
いつも通り始業のベルが鳴ったが、サトがいない。
担任のサビーナ先生が出席簿をもって教室に入ってきた。
開口一番、サビーナ先生は「今日はサトさん体調不良でお休みです。ノートをとってあげてね。」とだけ告げた。
エマたち女子組は、サトのためにノートを取る分担を決めだした。
ペテルたち男子組は「ふ~ん、そうなんだ。」くらいの感想しか持たなかった。
―しかし―
サトはただの体調不良ではなかった。
いつまでたっても『寝たまま』なのだ。
どんなに声をかけても、体をゆすっても決して起きることはない。
ついにサトの両親はその日の午後、病院や魔術教会に連れて行った。
「先生、この子、全然起きないんです!」
しかしどんな医者にも魔術師にも、なぜ起きないのか原因がわからなかった。
ただ、時折悪夢を見ているかのようにうなるのであった。




