三 ミミさん、ともだちをみつける
じいさんをりんごのところへつれていってから、ピピンとミミさんは道へと向かいました。
とちゅう、ミミさんがえんりょがちにピピンにいいました。
「ピピンさん、もしよければわたしのせなかにのったらどうだい?」
「うん。それじゃあのせてもらおうかな」
白ねずみは白うさぎのせなかにのりました。
おはかをとおりぬけ、さかみちをのぼって、黄色いほどうきょうのかかった広い道に出ます。
「やあ、ついたねミミさん」
「ああ、ついたねピピンさん」
二ひきはほどうきょうのかいだんのしたで子どもたちをまちました。
でも、どうしたわけか、その朝はだれもきません。
(ピピンもミミさんも知らないことでしたが、その日は日よう日だったのです。)
ピピンとミミさんはずいぶん長いことまちました。
そのうちにラスカルじいさんがようすを見にきました。
「どうしたね二ひきとも。子どもはだれも来ないのかい?」
「そうなんだよじいさん。だれもこないんだ。ぼくたちはすっかりおなかがすいちまったよ」
「それはかわいそうに。りんごがまだ一つのこっているよ」
りんごときくなりピピンの鼻がぴくぴくうごきました。ミミさんの鼻もぴくぴくうごいています。
三びきはいちどおはかにもどることにしました。
りんごをたべてからまた道へもどっても、その日はとうとうひとりの子どももやってきませんでした。
「ミミさん、きみはもう帰るべきだよ」
ピピンはちゅうこくしました。
「そうだなミミさん。あんたのような白い生きものが夜中にうろうろするのはあぶない。またくればいいさ。きっとこんどは小学校へいけるよ」
ラスカルじいさんもやさしく言います。
ミミさんはひげをしゅんとたらしてしまいました。
「こんどなんてないさ。小屋の金あみがやぶれているのを見つけたら、ようち園の人たちはきっとすぐに直してしまう。わたしはきっともう出てこられないだろう。ずっといっぴきだけで、死ぬまで友だちには会えないんだ」
ミミさんがかなしそうにいいます。ピピンもかなしくなりました。
すると、ラスカルじいさんが、しましまではない太いしっぽをぴんと立てておこりました。
「なんだねミミさん、するとあんたは、わたしを友だちとは思っていないのかね? いっしょにりんごを食べて、いっしょに子どもたちをまったというのに、わたしはしょせんたぬきだから、うさぎの友だちにはなれないというのかね?」
「まさか、そんなことはありませんよ!」
ミミさんがびっくりぎょうてんして答えます。
「ラスカルさん、あなたはたぬきであれアライグマであれ、とてもしんせつな友だちです」
「そうだろう。そうだろう」
ラスカルじいさんはまんぞくそうに言いました。
「ミミさん、それじゃぼくは?」
「もちろん友だちだよ!」
ミミさんがあわてて答えました。
ピピンはすっかりうれしくなってひげをぴくぴくさせました。
「ラスカルじいさんはやっぱりちえがふかいや。ぼくたちはきょうから友だちだね。ねえミミさん、きみが小屋にもどっても、かならず会いにいくよ。もしもほかのうさぎに会ったら、きっとつれていってあげるよ」
「ありがとうピピンさん」
ミミさんがうれしそうに言いました。ピピンはりんごを百こみつけたよりもうれしい気もちになりました。