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03 空間魔法はハズレですか?



 空間魔法が使えることが分かった私は、この魔法でどんなことができるのか、とりあえず試してみることにした。


 水魔法の方が良かったとか文句垂れたばかりだけど、魔法が使えるだけ有り難いってもんだ。


 もしかしたら、思いもよらぬ使い道があるかもしれないし、とにかく地道にレベルを上げていこうと思う。




 そうと決まれば、まずは、近くにあるものから収納してみることにした。


 タイミングよく、近くに糸くずがあったので、それをつまんで、「おぎゃあ(収納)」と唱えてみた。



 すると、その瞬間、手元にあった糸くずが、本当に消えたのだ。


 ······すごーい。え、待って、本当にすごくない?


 空間魔法って、いわゆるアイテムボックス的なアレだと予想はしていたけれど、本当に消えた。


 きっとあの糸くずは、今、私の異空間に移動したのだろう。


 平々凡々だった自分に魔法が使えたことで、本当に異世界に転生したんだなと、改めて実感した。



 さて、初めての魔法も上手くいったので、今度はもう少し大きなものを収納してみようと思う。


 きょろきょろと目で周囲を見渡し、頭上に干されていた、レオルのシャツに目をつけた。


 よし、次の獲物はこれだ。


おぎゃあ(収納)


 ん、あれ?収納できない。

 試しにもう一度やってみたけど、やっぱり収納できなかった。


 レベルが足りないのか、魔力が足りないのか。収納スペースが足りない可能性もあるね。


 あとは、直接触れないと収納できないとかもあり得る。


 その辺りのルールを把握していないと、いざという時に困るかもしれないので、収納できない原因を探るため、今度はシャツよりもう少し小さな、母のハンカチを収納してみることにした。



 すると、今度は収納に成功した。


 これで1つ分かった。収納には、何らかの制限があるらしい。


 直接触れずともハンカチを収納できたということは、シャツを収納できなかった理由は、レベル不足か魔力不足か容量不足かな。


 勿論、その他に原因がある可能性も大いにあるけど。

 


 現時点で検証できそうなのは、容量かな。今後のためにも、どのくらいの量を収納可能なのか、気になるし。


 

 容量を確認するには、今収納することに成功した、ハンカチと糸くずをバンバン収納していけばいいだろう。他にも、ハンカチより小さい良さげなものがあれば、それも収納できるか試しながらね。


 そこで早速、アネッサのハンカチをもう1枚収納しようとしたら、なんだか頭がクラッした。


 直感的に、今無理に魔法を使うと、気を失ってしまう気がした。


 何となくだけど、魔力不足なのかもしれない。そう思いステータスをオープンしてみると、案の定、魔力が0になっていた。


 直感を信じて良かった。魔力が無い時に魔法を使ったらどうなるのか、私はまだ知らないからね。最悪、転生して早々オダブツとかもあり得たかも。


 とにかく、今は無理をしない。何しろ時間は腐る程あるから、急ぐ理由がないんだ。


 魔力回復を優先することにしよう。


 と思ったのも束の間、そういえば魔力ってどうやったら回復するんだろう。

 とりあえず、魔力不足でクラクラするし、ひと眠りするか。





◆◇◆◇◆






「〜〜!、!!」



 朝、なんだか騒がしい声がして目が覚めた。


 声の主は多分アネッサ。この感じからして、かなり取り乱しているらしい。


 ドタドタと足音が聞こえたかと思うと、

「ない。ないわ!私のお気に入りのハンカチがないのよ!」という涙声が聞こえた。

 


 いっけない!アネッサのハンカチ、収納したままだった!


 

「私のハンカチ······。どこに行ったの?」


 しょんぼりしながら、他の部屋を探しに行くアネッサ。


 危なかった。

 アネッサが居ない今のうちに、ハンカチだけでも取り出そう。落ち着いて収納の唱えた。なのに、



おぎゃあ(取り出せない)!」


 こんな時に何故?


 やっぱり寝るだけじゃ、魔力は回復しないってことかな?


 そう思い至り、ステータスオープンして、魔力の残量を確認すると、


魔力∶20/20


となっていた。


 回復しないどころか、全回復のうえ、最大値が大幅にアップしてるじゃん。


 なのに、取り出せないなんて、どうなってるの?


 え、もしかして、収納って異空間に収納するだけで、取り出せないやつ······?


 だとしたら、それってめちゃくちゃハズレスキルじゃない!?




 アリアンナの空間魔法に対する期待値がさらに下がると同時に、異空間から物を取り出す方法が分からない限り、アネッサのお気に入りのハンカチも永遠に見つからないことが決定した瞬間だった。


おぎゃあ、おぎゃあ(ごめん、アネッサ)



 絶対に取り出し方法を見つけなければと、心に固く誓いつつ、次回からは、取り出せなくても構わない糸くずとかホコリで鍛錬しようと反省するアリアンナだった。



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