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12 薬草採集②



「どう? これなら問題ないでしょ?」

「え? 今のって空間魔法?」


 薬草を一瞬で収納してみせたところ、目を大きく見開いたダン君。


「うん、そうだよ」


「アリー、いつの間にこんな大きなものまで収納できるようになったの?」

「そうだよ。自分と同じくらいの大きさのものしか収納できないって言ってただろ?これ、明らかにアリーより大きいぞ」


 驚いたのはダン君だけではない。

 アリアンナが自己申告していた空間の大きさは、自身の身長と同じくらい。たった今、それよりも幾分か大きなものを収納してみせたことは、マリとルイにとっても予想外だったようだ。


「少しずつ大きくなってるんだよ、空間。でもまぁ、この大きさがギリギリだけどね」


「そんなもんなのか。不思議だよなぁ、空間魔法って」

「ね」


 アリアンナからしてみれば、今の説明は割りと苦しい言い訳に聞こえるのだが、今まで出会った人達は、みなアリアンナの説明を、そんなものなのかと受け入れてくれた。

 世にも珍しい空間魔法だからだろうか? 

 それとも、アリアンナの事を純粋無垢な存在だと認識していて、嘘をつくなんて微塵も思わないのか。  

 

 もし後者だったら申し訳ないなと思いつつ、ある提案をした。


「で、どうする? この大きさだったら、あと何十本か入るよ」



 三人の瞳がキラキラと輝いた。




◆◇◆◇◆

 



「アリアンナちゃんありがとね。僕の分まで沢山収納してくれて」


 薬草を摘みながら歩いていると、ダン君から話しかけられた。


「別に構わないよ。ダン君はルイのお友達だし」


 そう返事を返したアリアンナ。あまり深く考えることはせず、思ったことをただ言葉にした。


「ははは。アリアンナちゃんはルイの事が大好きなんだね」

 ダン君が白い歯を見せて笑った。


「え? なんで?」

「だって大好きじゃないと、お兄ちゃんの友達だからって、そんなに優しくしないでしょ?」

「そうかな?」

 

 アリアンナにとっては、人に親切にすることなんて、当たり前の事だ。そりゃ勿論、身を削ってまで親切にするかといえば、時と場合によるけれど、今回みたいに()()()()()()()()くらいのことなら、ルイの友達でなくても、多分手伝っただろう。


 もしかして、ダン君はそうじゃないのかな?

 そう思い見上げると、ダン君の茶色の瞳と視線がぶつかった。


「よーし、アリー。これも入れてくれ」

「あ、うん」


 ダン君のことばかり見ていたアリアンナは、ルイがいつの間にか近くに居たことに気づかなった。見ると、大量の薬草を抱えていて、ふらついている。

 アリアンナは急いで薬草を収納した。


「アリー大丈夫? 疲れちゃった?」

「ううん、大丈夫。ありがとうマリ」


 優しいマリの気遣いに癒やされる。


「疲れたらすぐに言ってね。といっても、この辺りの薬草は取りつくしちゃったから、今日はもうこれで終わりかなぁ?」

「そうだね」

 マリが少し残念そうにこぼすと、ダン君も同意した。


「いや。あそこにならもっとあるはずだぜ」

 だけど、ルイだけは違った。


「あそこって?」

「ダンジョンだよ」

「ダメ。危険すぎる。それに、お母さんにもダメだって言われたじゃない」

「あぁ。だから中には入らないよ。それに中まで入らなくても、ダンジョンの周りには、薬草が沢山生えてるしいぞ」

「でも、もし何かあったら……」

 ルイとマリで、ダンジョンに行くかどうかで意見が割れた。

 ダン君は何も言わない。両腕を組み、考えこんでいる様子。


「さ、行こうぜ」


 今にも走りだしそうなルイ。

 え?また走るの? まだ体力が回復しきっていないアリアンナは、内心焦った。


「ルイ! 勝手なことしちゃダメだよ。早く帰ろう!」

「ちょっとだけだって」

 


 見るに見兼ねて、アリアンナも口を開いた。

「ルイ。今日は帰ろうよ」


 アリアンナは、ダンジョンたるものに、とても興味を持っている。とはいえ、危険を冒すほど、向こう見ずな性格ではない。いつか、洗礼の儀で空間魔法ではない魔法が使えるようになったら。その時に、頼れる両親とともに挑戦できたら。

 それくらいの感覚だった。

 

 アリアンナの言葉に、ルイは口を尖らせ、一方マリは安堵したように微笑んだ。

 

 納得できないのか、ルイが口を開こうとする。


 するとその時、わずかに音が聞こえた。

 ダダダダッという、小刻みな振動音だ。それも、ダンジョンとは真逆の、今通ってきた街道の方から聞こえてくる。


 何の音だろうと、全員が音が聞こえるほうに視線を向けると、何かが近づいてくるのが確認できた。

 

 音が大きくになるにつれて、その何かのシルエットも、はっきり見えてくる。

 

 荷馬車だ。それも1台ではない。

 これだけまっすぐに進んでいるということは、きっと誰かが上手く手綱を握っているのだろう。


「誰か来るみたい」

 マリも同じ結論に至ったらしい。そう独り言のように呟いた。



閲覧いただきありがとうございます!

少し宣伝になりますが、別に投稿しております「私は待望の水属性魔導士~」の書籍化が決定しました。

処女作のため、特に序盤が粗削りな作品(書籍版では大幅に改稿済みです)ですが、本作と同様ほっこり系のお話なので、お時間があればぜひ。

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