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不幸な子どもの育て方  作者: とりとん
小学校の育て方
6/6

先生の言うことは絶対だ

小学校に入学したら、とにかく先生の言うことは聞きなさい、先生の言う通りにしなさいと言って送り出すのだ。友達と仲良くしなさいだとか、たくさん遊んで楽しく過ごしなさいとか言ってはいけない。

そして先生の言うことをよく聞く物わかりの良い小学生は、先生から褒められるようになる。幼少期に褒められるという成功体験が少ない小学生は、”先生から褒められることはいいことだ”という価値観を持つようになる。これは一見すると幸福な将来へつながりそうだが、実態は減点方式の裏返しでしかない。つまり”先生から褒められないことは悪いことだ”と本質的には何も変わらないのだ。そういう考えのまま大人になると、常に他人の評価や考えを伺うような癖がつく。そういう癖がつくと、誰かに反対されてでもやった方がいいことがあったとしても、他人に嫌われることや害されることを極度に恐れているので行動ができなくなる。行動ができなくなることで現状維持や、誰からも反対されないが支持もされない折衷案しかとれなくなる。そして現状維持や折衷案というのは自己の価値観から生み出した結果ではなく他者の反応に依存して生み出した結果なので、自己肯定感は全く高まることは無い。

また、小学校時代に先生や周囲の大人から怒られない、注意されない、指摘されないという状況を過ごすと、これらの体験が自己の成長につながるということを感覚で理解できない。第一に失敗は成功の元であり、なんらかの失敗や間違いを経験することで成長できるということは社会一般的にも脳科学的にも立証されている(そういう意味では失敗が無いことが最大の失敗であり、失敗することそれ自体は失敗ではない)。第二に失敗経験が極端に少ないと、将来的に失敗そのものに対して恐怖や嫌悪感を抱くようになり、失敗に対する回避行動が強くなる。これは失敗による成長経験が極端に少ないことと、大なり小なり失敗したとしても取り返しのつかないことはほとんど無いという事実が体得できない。大人になってからこれらを理性や言語情報として記憶、理解できても感覚として理解できないので、失敗経験がある人と比較すると行動力が低くなる、もしくは同じ行動に対して心理的負荷が高くなる。また、小学生6年間を失敗経験が少ないまま過ごした大人は、実際に失敗して注意されたり指摘されたり、場合によっては感情をぶつけられると強い身体反応(動悸、思考停止、顔面蒼白または紅潮、緊張感・不安感など交感神経の高まり)を示すようになる。これらの反応は理性で抑えられるようなものではない(しかしこういう反応を得た成人は自分の気が小さいのが悪いことだとか、自分がストレスに弱すぎるだけだ等と自己否定に至りやすい。これらの反応を抑えるには失敗に少しずつ慣れる訓練をしなければならない)。人間は得体のしれない現象や状況に恐怖し回避する本能が備わっている。この本能は狩猟時代においては非常に重要で人類という種の生存のため有用ではあるが、こと現代社会においてそのような機会は少ない。にも関わらず、失敗経験が少ない大人にとってはミスをして上司に怒られることと夜道で遭遇する不審者も同列の恐怖対象であるために、不審者から逃走するのと同様に挑戦からも逃走しようとする。そして現状維持という無成長の沼にはまり続け、どこかで限界が来るだろう。

さらに、学校の先生を自分の行動基準の一つにしておくと、いざ学校の先生がいなくなる卒業後や社会進出時に行動基準の喪失へつなげることができる。自己の価値観に基づく行動基準が持てていると、自己肯定感を高く保つことができるので幸福へとつなげることができるが、行動基準を喪失した大人は生きる基準を見失うという不幸へ突き進むことができるのだ。

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