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不幸な子どもの育て方  作者: とりとん
小学校の育て方
4/6

テストの点数は減点評価しろ

生まれて初めて他人と共同生活を送る重要なこの時期をどう過ごすかによって、その後の人生を不幸にできるかどうか変わってくる。

目標は「物わかりの良い小学生」と「大人の顔色をうかがう小学生」に育てることだ。テストで100点をとってきて、親や先生の言うことをよく聞き、ルールをしっかり守れるような物わかりが良くて大人しい小学生に育てることができれば大人になって不幸になることができるだろう。

小学生になると、人生で初めて能力の数値化を体験することになる。それがテストや通信簿の点数だ。数値そのものは公平な事実であるが、その数値に対してどんな印象を抱くかは千差万別であるし、親が子どもにどんな評価をするかも千差万別である。

例えば、算数のテストの点数が80点だったとしよう。このとき、「80点もとれたね、よくやったね」などと言ってはいけない。「なんで20点も間違えたの?」とか「こんな問題を間違えちゃダメよ」と言ってやればいい。80%を正解したのではなく、20%を誤答したという事実のみを突き付けてやるのだ。そしてここでも幼少期同様に感情をぶつけてやればいい。

そうすると、おそらく次のテストでは100点をとってくるだろう(小学校のテストでは応用力があまり問われないので、言われたことをそのまま受け止められる性格の子どもは100点をとりやすくなっている)。

そしてもちろん、100点をとってきても褒めてはいけない。まるで100点が当たり前であるかのように、100点と記載されたテスト用紙になんの反応も示すことなく返せばいい。100点なら何も言わないけれど、80点や90点だと意見する親を貫けばいい。

ちなみに、この100点という結果は表面上こそ良い子どもに育っているようにみえるが、ただ単に親からの感情をぶつけられたり、100点をとらない自分が悪い自分だと思っている(そういう情動が湧き上がっている)から、必死に授業を聞いて覚えて100点がとれたのであって、100点という目標を達成したくて努力したのではない。ありていに言えば「怒られたくないから頑張った」のだ。この行動方程式は不幸になるにはとても重要な要素だ。幼少期に感情をぶつけて育てた甲斐があったというものだ。今後一生にかけて「怒られたくない」「間違えたくない」「ミスをしたくない」という情動が不幸の一要素として苛み続けるだろう。

そして間違えた20点について、「どこが間違っていたのか、どうして間違えたのか一緒に考えてみよう」などと言ってはいけない。「なんで間違えたのか自分で考えろ」と突き放すのだ。間違いを犯すと見捨てられる、突き放されると理解させるのだ。人格形成が終わった社会人の部下や教え子に対して自己反省の意味で間違いを考えさせることは成長の一要因になるだろうが、人格形成が終わっていない小学生に間違いを自己反省させると”間違えた自分がいけないのだ”と考えるようになる。例えば九九の7の段を7,14,20と間違えてしまったことについて、”14に7を足すと21なのに6を足していた”だけではあるが、減点方式で評価されている子どもはまず最初に間違い自体が悪いことと先行するので”14に7を足すと21なのに6を足していた自分が間違っていた”となるだろう。意識的にそう考える小学生はいないかもしれないが、心のどこかで常に”自分が間違っていた”という感覚が付きまとっている。なぜなら間違いに対して「自分で考えろ」と突き放されているのだから自分に問題があると先行するのだ。

小学生に間違いを自分で考えさせることは、他人に助けを求めるという手段を覚えさせないという意味でも有効だ。つまり同じ問題を正解した同級生に聞くのでもなく、先生になぜ間違えたのか聞くのでもなく、教科書を読みなおしたりノートを見直したりドリルをやり直したりと、”自己の行動範囲内で問題の解決を図ろうとする”ようになる。そして小学校の問題レベルであれば、自己の行動範囲内で大抵は正解にたどり着ける。たどり着けてしまうからこそ、より一層”他人に助けを求めずに自己解決しようとする癖”を助長することができる。これは将来、不幸になるにはとても重要な要素で、困ったことがあったときに他人に相談できない性格に育て上げることができる。他人に相談できないということは助けを求められないということでもあるのだ。

さらに減点方式で評価されているので間違いが悪いことだと認識するようになっており、人に聞くことは恥ずかしいことだ、悪いことだという意識も植え付けられているので、なおさら孤独という結果に近づくことになる。

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