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1話

「わあ、ホントに成功した!」

キャッキャと子供の喜ぶ声で目が覚めた。

「魔王さま、ボクの願いを叶えてくださいっ!」

腕を引っ張ってくるどこか外国の民族衣装の格好をした男の子。その回りには尻尾と角が生えた二人の男性が目を丸くして立っていた。見渡せば石畳の明かりが薄い、なんとも陰湿な内装の場所にいた。馬鹿な!私は死んだはずじゃあ……!

「こ──」

ここはどこですか?思わず口走りそうになったが、なんとか気力で呑み込む。今さっき子供が私に向けて放った言葉「魔王」。そして男二人が着ている一見まとまりのないように見える服装もなーんかスーツっぽい。おまけにこの部屋。いかにも地下って感じ。松明の照明なんて火事でも起こす気なんですか?私は行間の読める女。どういうことかわかったわよ。これ、異世界転生ですわ~!


「先輩、どうしましょう!魔王様の反応が返って来ないっすよ!?やっぱり失敗なんじゃ……」

此方に背を向けて小声で召し使い(たぶん)たちが話しているが聞こえている。というか小声なのか?普通のボリュームに聞こえるんだが、元の声が大きい体育会系か?

「こういうのは叩いてみればわかる。オラッ」

「イタッ!」

「ほらみろ、成功だ」

グッジョブじゃない。親指立てんな、後輩も立てんな。よっこらしょ、と横になっていた体を起こす。視界に入ったさっきまで横になっていた床には赤い液体で魔法陣みたいなのが描かれていた。やだ、血!?

「お待ちしておりました、魔王サマ。召し使いのリリキュースです」

「今年から召し使いに昇任しました、ゼロクロムっす!」

「ボ、ボク、エイデン!よろしくおねがいします!」

ちょ、ちょっと待ってよ。そんな一気に自己紹介されても覚えきれんからな?あれ、これ私も自己紹介する流れ?魔王の自己紹介なんて知るかよおおぉ!

「吾輩は……魔王である」

あ、名前決めてなかった。しかし、それだけでも召し使いたちは喜んでる。

「フォオオオォォォォ!すっげえ!他の者とはオーラが違うっす!」

「これで退屈な日々とはおさらばだな」

そんなに魔王がいて嬉しいのだろうか。よくわからないが喜んでもらえるのはこちらも嬉しい気分なる。

「魔王さま、魔王さま」

エイデン(たしかこんな名前だったはず)がクイ、クイと袖を引っ張ってくる。これ反応しても良いのかな。魔王的にどう?

「魔王サマ、エイデンは魔王サマを復活させた協力者です。決して迷子で潜り込んできた小僧ではありませんぞ」

そうだったのね。確かに場違いだとは思ってたけど。礼を言わねば。私、できる女なので。

「そうか……礼を言おう……」

「そんなことよりボクの願いを叶えてよ!」

そんなことよりって……。魔王からの礼なんてレアだぞ?人生であんまり起こらない貴重なイベントだぞ?それをお前は……。最近の子供ってこんなんなの?

「願いか……」

これ、願い叶えてもいい系?いいよね?普通は復活させてくれた人の望みは一度聞くよね。魔王の普通知らないけど。

「いいだろう……願いを述べよ……」

「ボクをいじめるやつをやっつけてほしいんだ!」

ええ……?



──つづく──

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