夢から旅に出ました
なんだか、凄く現代的。いや、地球で考えるとね。転生したこちら、魔法がある世界らしいんですよ。
私、勉強しました。でも、魔法は使えません。残念、無念。本当に、慙愧に堪えません。といいつつも、忘れましょう。ちょっと格好つけた詠唱も。使えないのです。切り替えていきましょう。
そんな、魔法のある世界ですがリームドというらしいです。それがこの世界なのか、星なのか、国なのか、地名なのかは不明です。
だって、まだ三歳ですから。いまさらですが、普通の三歳ってこんなに流暢に話すかな。それとも自分では流暢に話していると思っていても、子供っぽいのかな。指摘されたこともないので、大丈夫でしょう。魔法のある世界ですし。困った時に考えましょう。
それで、現代的と言ったのは車っぽいんです。家の感じは西洋的だったので、てっきり馬車かなと思ったんですが。
家族も日本人に多い黒っぽい目と髪じゃなかったので。顔立ちも東洋的ではないかな。私はあっさりしているよな気がするんです。髪も目も黒茶のようだし。どうも、私だけ。でも、小さいから可愛いよ。小さいものは可愛いんです。親は可愛いって言ってくれますから。
贔屓目。
大丈夫、分かっていればいいのです。
「疲れていないかい? スウ」
「大丈夫です。お父さん」
「結構、とばしたからね。おやつ頃には先方へ着くよ」
「はい」
「先方は首を長くして待っているようだよ。それで、私は一泊させてもらって帰るよ」
「私はどのくらいで帰れますか」
「・・・ああ。そうだね。先方のご都合によるね」
「そうですか」
「本当に、すまない」
「いえ。大丈夫です」
「スウの聞き分けが良すぎるのと、自分の不甲斐無さに泣けてくるよ」
「お父さん。前はしっかり見て下さい」
「旦那様。運転中は集中して下さい」
そう。流石に三歳だからね。仮の保護者がついてくれました。
名前はケリー。多分、十代だと思う。とっても運動得意そうな感じだよ。日本的に例えると、陸上部にいる中高生と言われても納得な筋肉量です。食事も凄かったよ。
保護者といっても、母親代わりとするには重荷を背負わせ過ぎだと思うし、ちょっと年の離れたお姉さんという位置でついてきてくれているんだと思う。旅立つことが決まってから、顔合わせをして、それからほぼ一緒にいるからね。相性も良かったみたいで、ほぼ自由にさせてくれて危険なことに対してだけ注意してくれるんだー。
でも、リームドでも運転で良かったんだね。ケリーからはなるべく多くを吸収していけたらいいなー。
けど、西洋風の名前呼びは慣れないな。