将来のお仕事
「おかえりなさいませ、スウ様。初登校いかがでしたか?友達できました?」
トマスラルさんが玄関先で待ち構えていました。
「何人かとお話ししました」
三時間程離れただけで、こんなに熱烈な歓迎を受けるとは思わなかったので、若干仰け反りつつ答えました。ケリーは沈黙を保ちます。
「それは良かったです。やんちゃしたのはいなかったですか?」
「・・・多分。そこはケリーに聞いて下さい」
「問題なく、先輩」
北のやんちゃの程度が分らなかったので、ケリーに投げたのですが、また先輩呼びが出ちゃった。ああ。お昼はライオネル様と給仕をフロロウクさんがしてくださいました。
午後は自習です。
「ケリー、私の将来の仕事はライオネル様のお手伝い?それとも今まで通り特性の研究とそれを魔道具にできないかという道を突き進んでもいいの?」
「突き進んで頂いて構いません」
私の自室に、すっと戻ってきたケリーが堂々と宣言します。
「ライオネル様に確認はいる?」
「必要ありませんが、スウ様がお気にされるようでしたら、伝えておきます」
「ありがとう。それで、今更なんだけど、ライオネル様のお仕事ってなに?」
「北の土地を統括しております」
「偉いの?」
「それなりに、権限はございます」
「強くないと駄目なの?」
「その方が、物事が早く進みますね」
「そう。学校では生活していく上で基本的なことを学ぶのでしょう?」
「はい。スウ様には勝手を言うようで、申し訳ないのですが、学校に行っては頂きたいのです。特に既知ばかりの授業に出席される必要性は感じません」
「じゃあ、別室に登校させてもらう?それに、これから新たな学年の子たちが入る度に、学校に通った方がいいよね」
「我儘なお願いですが、そうして頂けるとこれからの北の者の力となります」
「私は特にいるだけだから良いのだけれど、行って仕事というか私の学びができるといいよね」
「はい。どのように進めましょう。講師を派遣願いますか?」
「うーん。ちょっとそれは早いかな。まずは自分で学んでみてからだから、本とか魔道具を揃えるのには・・・お金がいるよね。私が生活するお金は婚約者だから、もうライオネル様から出ているの?」
「はい。婚約が調った時点で移行しております。そして、スウ様に不自由はさせないとの契約でございます。勿論、趣味嗜好に関してもですので、学びたいということに上限などございません」
ケリーが常に味方でいてくれるって心強いよね。しかも、北に来てから立場が強くなっているよね。頼もしい。
「そうなの・・・?そんなに、甘えていいものかな。でも、私はまだ稼げてないしね。将来、何かで還元できるといいなー」
「もう、既に利益が出ておりますので」
「え?もう?」
子宝祈願を願う北の者に限って、期間は区切るそうですが、ライオネル様のお屋敷で夫婦揃って働けるそうです。抽選の倍率が凄いようですよ。




