終の棲家を探検します
「小さくないか?」
「可愛らしいですね」
「幼すぎないか?」
「目を奪われちゃいますね」
「おい。聞いているのか?」
「可憐すぎて困る」
「どこまで曲解すれば気が済むんだ!」
「お聞きですか?これがライオネル様の本音でございます」
私たちに聞かせるためにライオネルさんを煽ってから、背後を振り向いたトマスラルさんに、私は思わず横に立つフロロウクさんを見てしまった。
「ええ。確かです」
フロロウクさんも同意した!皆、贔屓目が凄いよ。まだ、初日だよ。
ケリーに北の季節や行事、風土、風習を聞いていると、お昼だとフロロウクさんが迎えに来たので、朝と同じ食卓に着くべく向かったら、この茶番劇に出くわしました。
原因はケリーでした。おう、何て事だ!思わず、劇を引きずっちゃったよ。
「ケリーにはスウ様に付くように指示いたしましたので」
「フロロウクさんに派遣されたってこと?」
「はい。監視していたようで、申し訳ありません」
報告したり、指示が来たりしていたのだろうと思われます。ケリーは申し訳なさそうですが、そのお陰で健やかに成長できています。フロロウクさんは素晴らしい人材を派遣してくれました。
「いやいや、そのお陰で、私がこれだけの好待遇なんだよね?どうもありがとう」
「スウ様のお力は本物ですので。事実を告げただけでございます」
「ケリーの誠実さがあってのことでしょう」
そう、このケリーの説得力の高さ、この比重が高いと思います。そうじゃないと信じないよね。
「いえ。スウ様のお力は小さな頃から経験した方が良いと、進言致しました」
「そうなの?」
「私事で恐縮ですが、北の者の多くが、身の内に力を留めておけないのです」
ケリーは北に住む人、全員を私事って言った?凄いな。フロロウクさんが続けます。
「スウ様は直接、我々の力をご覧になられたことは無いでしょう?」
「ええ」
「それこそ、奇跡です。我々は力の制御が甘く、すぐに物を壊したり、姿を変えたり致します」
「へー。そうだったの」
ちらとも見ないから、言われないと気が付かないよ。
「ケリーはスウ様のお力が抑えるだけではなく、身の内に収める術も教えて下さると言うのです。しかも、そのお力に接するのは幼少の頃からの方が良いと。愚考致しますに、イメージとして、我々は片付けが下手で箱に乱雑に物を詰める事しか出来ないのです。勿論、蓋なんてあって無いような物ですが、スウ様がいらっしゃいますと、その箱にきっちり仕舞う事が出来、しかも蓋までぴったりと閉められるのです」
「それは、皆さんが常に学んでいらっしゃるからでは?」
「短時間であれば、スウ様とお会いした後、直ぐにでも力を収めることが可能なのです。これは奇跡です。本当に、北に来ていただき有難うございます」
涙を浮かべてお礼を言われれば、そうなのだろうと信じて受け取るしかありません。でも、お役に立てて良かったです。




