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 今までロクに殿方と踊った経験のない私は二曲目で疲れてきた。リオンの手から逃げようと何度も試みたけど、なかなか離してくれなくて困るのが本音だ。


 最初、このダンス会場に来た頃は、色々な方に声をかけられていた。しかし私はお父様の言いつけの通りに来ていただけで、誰かとダンスを共有する事なんて、興味がなかった。


 一応講師がついていたので、ある程度は踊る事は出来る。だけど、どうしてもこの空間に馴染めなかったのだ。


 私とリオンの姿を見ている人達から、色々な言葉が流れてくる。


 「あの令嬢、私の相手は断った癖に、あの男の相手はすんなり受けるのか」

 「リオン様、どうしてあんな年増女とダンスなんてしているのでしょう?」

 「ある意味「似た者同士」でお似合いかもな」


 自分でも気づいていなかったのだが、私達は自分の想像を超える遥かに、目立っているらしい。その言葉を聞きながら、クロウは腕を組みながら、噂をしている人達の方へコツコツと近づいていく。


 「貴方達を選ぶ訳がないだろう? あのお二人にも「選ぶ権利」はある。そんな噂を流すのなら、帰っていただきたい」

 「「「クロウ様!!」」」

 「悪いがここはダンスを楽しむ場所。貴方達のような者が来るべき場所ではないな。身を(わきま)えてほしい」


 黒い髪がユラリと揺れる。一つに結わえられている後ろ髪が感情の高ぶりを静かに表しているようだ。クロウは騎士が着るような服で発言しているから、余計に怖いだろう。


 「ここは私達クロウ家が主催しているダンス会場だ。その事をお忘れかな?」


 闇に包まれているような雰囲気の中で影があるように微笑むクロウ。その姿を見ている人達は、凍り付いて何も言えなくなってしまった。何か言い訳を言いたいだろうが、それを許さないのだ。


 「反論がないと言う事は、反省の色がないと判断してよいのだな……?」

 

 静かに怒りを見せるクロウは、奥の部屋にその人達を連行していく。



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