表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/57

 私の目の前の現れた赤子には光のプロテクトが貼られている。触る事は出来るがプロテクトを破る事は出来ない。どうなっているのかと思いながらも、光の壁をなぞると、嬉しそうにキャッキャッと笑っている。


 その姿を見ると、少し安心した。ホッと息を整えると、自分のやるべき事を考えだしたのだ。この状況で冷静な判断が出来るかどうかは分からない。しかし、いつまでもこのままほうけているのも違う。


 その時だった。私の考えている事を見透かすようにプロテクトから映像が流れ始めたのだ。映像として形を整えている映像は露庵の姿になった。


 <リベスタ様、改めて初めまして。私はクベルトの妻「露庵」と申します。この映像を見ていると言う事は私は存在しないものとして役目を果たせたのですね>


 今までの色香の漂わしていた露庵とは違う雰囲気の女性がいる。私はクベルトと言う名を聞いてクレイ伯爵のご子息と言う事実に気付く。私はその妻と寝ていたのかと思うと罰が悪かった。


 <私の娘の名前はもう決めています。名前は「ミシャ」そしてこの子をどうかクベルトへと届けてください。勿論私と貴方との子供と言う事実は伏せて、ですわ>


 この女は何を言っているのだ? 自分の旦那に私との子を預けるとか正気じゃない。私は彼女の言葉を理解するのに時間がかかりそうだ。正直、眩暈がしてきた。


 <この子にはプロテクトを張っています。栄養なども全て与える仕様となっている優秀な結界。しかしある一定の年数が過ぎないと年齢を重ねる事が出来ません。その時(・・・)が来たら結界は外れ、すくすくと成長しはじめるでしょう>


 母親の声を聞いて嬉しいのか楽しそうな赤子……ミシャの笑い声がする。まるで露庵を求めているように。


 <後はクベルトが色々出来ると思いますわ。貴方には過酷な事でしょうけど……それもまた一興>


 <クベルトへ届けてくださいね。それではいつか来る崩壊の時まで──>


 それを最後に露庵の姿は弾けて消えた。先ほどまで光っていたプロテクトも何もなかったように静寂を務めているようだ。これ以上の情報は何もない。しかし、自分のすべき事を把握する事が出来た。私とて、妻と子供がいる身、こんな事がおおやけになれば、ただじゃ済まないだろう。


 彼女にどんな思惑があるのか不透明だが、ここは大人しく言う事を聞くしかないと思ったのだ。


 私が人生の中で初めてした「過ち」をなかった事にする為に──

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ