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 馬車は着々と前に進んでいく。それはまるで私とリオンの関係性のように。ルビーが傍にいるから会話には退屈しない。これが殆ど、面識のない人だったら苦痛だったかもしれない、そう考えるとルビーとお父様に感謝しかない。


 時間の流れが私の緊張をほぐしていく。最初はどんな顔をして彼に会えばいいのだろう、とか、このドレス大丈夫かしら、とか色々考えてしまっていたけれど、今は余裕を持つ事も出来てきている。


 「なるようにしかならないわよね……」


 直接的な不安を口にすると、本当にその通りになりそうで言うのを止めた。自分に言い聞かせるように、呪文のように呟くと、ルビーの耳に入ったのか私が安心出来るような微笑みで見守ってくれている。


 きっと屋敷に到着しても、彼女はその姿勢を崩さないと思う。勿論、私とリオンの邪魔にならないように配慮もするだろうし、立ち回りも考えるだろう。そう考えれば、ルビーって優秀なメイドね。


 「疲れていませんか?」

 「大丈夫よ、貴女こそ大丈夫?」

 

 ルビーからしたら慣れない環境だろう。私の事を気遣ってくれるのは凄く有難いし、嬉しい。けれど、ルビーの負担になっているんじゃないかと思ってしまう自分がいた。


 「私は大丈夫ですよ「お嬢様」そろそろ到着するみたいですね」


 ルビーは小窓から外の風景を確認すると、そう告げた。彼女にどうして分かるのかと聞くと、下調べをしてきたとの事。それを聞くと、私は妄想ばかりしてジタバタしていただけだったのに……


 「そんな時間あったの?」

 「ふふっ。それはいいとして、馬車が止まりました。降りましょう」


 貴女からしたら「そんな事」かもしれないけれど、私からしたら違うのに。はぐらかされた事が少し悔しいけど、ルビーの言う通りに馬車を降りた。

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