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婚約の申し出

 リオンはどちらかと言うと分かりやすい挑発をするのに、クベルト伯爵はやんわりと日常の会話の中に混ぜ会話を作っていくタイプだ。そう考えたら経験が物語っている。


 そこまで長い時間いた訳じゃないのに、緊張のせいで長く感じた。でも緊張はあったけど、疲れは感じない。クベルト伯爵が気を使ってくれたからだろう。そう考えたら、大人だなぁと思う。


 リオンと比べるつもりはなかったけど、同じ顔をしているせいか少し比べてしまっている。リオンはリオンで、伯爵は伯爵なのに。そういう所、私って子供だな、って実感したりして。


 私も30歳だし、大人なのに、同じ対応が出来るかと言えば正直、自信がない。だから本当に尊敬出来る方だと感じた。


 「シャデリーゼ、入っていいか? 少し話がある」


 部屋の外からお父様の声が聞こえてきた。私は自分からドアに近づき、ガチャとドアノブを回し、迎えた。お風呂上りなのか、髪を下ろしている。いつものお父様と違う印象で、新鮮に感じた。


 「どうしました? お父様」

 「失礼する」

 「どうぞ」


 私は化粧台の椅子を用意すると、そこにお父様を座らせた。話があると言っていたけど、どんな内容なのかしら。私はベッドに腰をかけ、お父様が話を切り出すのを待っている。


 ──ゴホン


 お父様は咳払いをすると、覚悟を決めたように話し始めた。


 「クベルト伯爵の事、どう思った?」

 「どう思ったとは? 素敵だと思いますよ」

 「そうか……」


 緊張しているのだろうか。いつものお父様の威厳を感じられない。私はお父様が何を言いたいのか分からずに、待っているのだが、痺れを切らして、こちらから切り出す事にした。


 「どうしてクベルト伯爵が来たのですか?」

 「お前の様子を確認したかったようだ」

 「何故?」

 「クベルト伯爵のご子息とダンス会場で会ったのだろう? どうやら感触を確認したかったようだ」


 感触? 私の何を知りたかったのかしら。お父様は遠まわしの言い方で中々はっきりと言ってくれない。いつものお父様なら分かりやすいのに、どうしたのかしら。


 「はっきり言ってくださらないと分かりません」

 「そうだな……」

 「……婚約の申し出があったのだ」

 

 予想の斜め上の言葉を耳にし、固まる私の身体。いつもお父様から「結婚」の言葉は何度も出てきたけど「婚約」は出てこなかったから……

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