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 森に入って早々に見つけた魔物。


 アレスが見つけたのは茶色の体毛を纏い、額から一本のドリルのような角を持った兎である。


「あれか。一角兎って、本当に兎に角が生えてるのな。てか思ってたのと違うな。特に大きさが。普通の兎の1.5倍はあるな。確か敵の姿を見つけたら脚力を活かして角で攻撃してくるとか言ってたけど、どうやって倒せばいいんだろうなぁ。こっちの武器は剣とナイフしかないんだけどな」

 

 アレスはそう言いながら、一角兎を倒す方法を考える。


 一角兎はというと、今は食事に夢中であった。


「兎の癖に森ハイエナの死体食ってやがる。この森の兎は肉食かよって、気づかれたっ! ヤバッ」


 一角兎と確かに目が合ったアレス。

 途端に一角兎が、アレス目掛けて飛びかかってくる。

 それをなんとか避けたアレスは、


「あぶねえ! むちゃくちゃ速いじゃねーか! あんなのどうやって倒せばいいんだよ」

 

 と考えを巡らせ、


「ええい、魔法で何とかしてみっか! 【風刃】」


 そう言って右手を一角兎に向けて、張り手を突き出すようにした。

 すると、アレスの手のひらから飛び出した、透明な風の刃。

 幅10センチにも満たないが、確実に一角兎に向けて飛び当たったのだが、一角兎の体毛を少し刈り取っただけで、ダメージらしいダメージを与えられなかった。


「ちっ! 体毛を少し削っただけかよ! ほんと使えねぇ!【電撃】」


 と同じ体勢で言うが、手のひらでパチッと火花が出た程度だった。


「やっぱり飛ばねえよなぁって来やがった!」


 突撃して来た一角兎の角を避け、腹の部分をアレスが手で突き放そうとした瞬間に、


「【電撃】」


 と言うアレス。


 突き飛ばされた一角兎が、地面に落ちたが、すぐに起き上がらない。

 1秒ほど経ってから飛び起きた一角兎。


「お! 感電したのかもしれん! 一瞬動きが止まった! イケるかも!」


 手応えを感じたアレスの頬が緩む。


 一角兎は、少し頭を左右に振ってから、再びアレス目掛けて飛びかかってくる。

 それを避けざまに腰から抜いた剣で斬りつけたのだが、一角兎は斬れることなく地面叩き落とされただけだった。

 だが、すぐ足下に落ちた一角兎を見て、剣から手を離して両手を一角兎に当てて、

 

「【電撃】【電撃】【電撃】」


 と、3度放った。

 電撃を放つたびに、一角兎の体がビクンと跳ねる。


「ふう! 連続で三発かましてやったから、さすがに痙攣してやがるぜ。今のうちに首落とそう」


 剣を拾ったアレスは、一角兎の首に目掛けて振り下ろしたのだが、首が落ちる事はなかった。

 だが、鈍器としては使えたようで、一角兎の首の骨は、確実に折れていた。


「固ってえなぁ。てかこの剣よく見ると刃が付いてないんじゃね? ただの平たい鉄の棒じゃねーか! なんだよコレって、アイツだ! コレ、ブレンに渡された剣じゃん。アイツマジで昔の俺の事殺そうとしてるだろ。よく今まで生きてたな俺って、殺されかけたんだったわ! とりあえず剣はやめてナイフにしよ」


 ブレンがアレスに渡した剣は、練習用の刃を潰したモノだった。それを使わせてゴブラインすら斬れない無能呼ばわりする事で、オトリとしてアレスを利用し、報酬をピンハネしていたのだ。


 まあ、アレスは、そんな事をせずとも確かに弱かったのだが。


 その日、アレスは一角兎をなんとか5匹と、薬草を500グラムほど採取して、ギルドに戻るのだった。


「アレス君お帰りなさい。はじめての一人はどうだった?」


 受付嬢のアンナが聞いてくる。


「とりあえずなんとかなりました。買い取りをお願いします」


「一角兎5匹と、薬草か。少し待っててね」


「はい」


 そう答えたアレスは、受付カウンターの前で待っていたのだが、


「お、アレスじゃん。体調はもういいのか?」

 

 背後から誰かに声をかけられたのだった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます 面白い [気になる点] ない [一言] 確かに雷撃は空中放電しそうで 直接さわるのがリアル こういった描写が泥臭くて作品の深みが他と違います 雷撃の空中放電 …
[良い点] 通知がおかしい・・・ なるほど、洗脳とかどれだけ非道な連中なのか・・・ 特にティファって名前が悲しい。
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