ベランダ
味気ない日々の
うわのそらでいては
ひかりが
透き通って意味を焦がす
いのちの行きさき
なにげない感情の機微にゆれて
わたしは意味に焦がれる
暮らしにのまれて
いつのまにか胎のなかだった
意識のつながりは途絶え
ふくまれるひとり
五畳半の部屋
季節は窓からやってくる
カーテンの隙間から
ひかりが
やわらかくある
ベランダに出ると
熱された街のにおいがして
すこし鼻にさわった
構造の内部にありながら
剝き出しにされた存在
夏に浮く入道雲のむこう
暮らしは
やわらかにわたしを呑み
わたしを
やわらかになぶる