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第9話:戦いのあとに




……綺麗 ──【裁断者】 ナタク・エルステイン


若い娘ってのは意外と歳上のお兄さんに憧れるものなのですよ ──【銃の王】 シャルツ・ディバイト・アークエッジ


ボツ……、いま没個性って言った? ヒロインの私が……?! ──半熟震術師 リース


はいはい そういう意地っ張りはあとで聴きますから ──柔和な笑みの女性 アルム


「   」 ──【限り無き炎】 ゼクゥ・フィアレス


お前は俺を引きずり出したいだけだろ? だから死なねぇ程度に傷を負ってわざと負けてきた 違うか? ──【最強の魔王】 グラナ


まったく、最悪の発想ね ──【第2魔王】 ルシフ






「……ゼ……、……クゥ様!」


 身体を揺すられてゼクゥは薄く目を開けた。心配そうな顔をしたベルがゼクゥの顔を覗き込んでいる。


「はにゃ……、あれ? ベルがここに居るってことは……」


 ゼクゥは瞼を擦る。


「僕が一休みしてるあいだに……終わっちゃってたり?」


「はい、魔物は全滅させました

こちら側には負傷者こそかなりの数いますが戦死者は居ません


東門の重傷者もナタク様の治療が間に合って死に至るような傷を負ってる者はいないようです」


「そう あー、そういえば東門のあいつは?」


「……えーっと民間協力者の方のことでしょうか? いまは詰所の特別治療室のほうに例の剣士の方と居ると聴いていますが」


「やっぱり、生きてたんだ」


 堪え切れなかったのかゼクゥは大きな欠伸をした。その様子に安堵したらしいベルが本題を告げる。


「スティア様からの命令で動ける兵士は全員広場に集めるそうです ゼクゥ様も来てください」


「ん、わかった」



    ◇




「みな、よくやってくれた あれだけ倒せばしばらくは悪魔の脅威も退くだろう


とはいえ結界は修理中だ 警戒を緩める訳には行かんが、諸君らの健闘を讃えぬのも礼儀に反する


そこで2部隊ずつ交代で宴を開こうと思う」



 との、ことで。





「……人が治療受けてる隣の部屋で宴会なんかよくやってくれるよな スティア」


 と、レグナ。彼には目立った外傷はないのだが【鎧神】と【刃神】の行使による疲労、それに全身を圧迫され続けたので内臓や骨の検査をしている。


「まったくだよ 美味しい料理……、お酒……、どんちゃん騒ぎ…… 僕も行きたかった」


 ふてたような表情をしているのはシャルツ (未成年)。圧縮震力を撃ち出すカイン&アベルの使いすぎで医者から絶対安静を命じられている。


 二人は同時に大きく溜め息を吐いた。

 そんな二人のことなどいざ知らず、


「レグナぁーどこぉー」


 外から呑気な声が聴こえてきた。


「リースだな……」


「こないだ連れてた子? そういえばあの子なんなの?」


「ん、あぁ光の術者でな 【星の隷属者】に鍛えさせたら戦力になるかと思って……」


 微妙に言葉を濁す。せがまれたから連れてきた、とはレグナとしては言い辛い。


「なーんだ じゃあレグナは僕のモノでOKなんだね」


「は……?」


 シャルツは人差し指を立てて意地の悪い笑みを見せる。


「若い娘ってのは意外と歳上のお兄さんに憧れるものなのですよ」


 レグナは嘆息し、一言。


「……もうちょい身長伸ばしてから言え」


「なっ……い、言っちゃいけないことを軽々と……!」


「悔しかったら反論してみろ、『怠け者のリトル』」



「あっ レグナいた!」


 リースが部屋に入ってきた。そしてなぜか全速力で走ってくる。ってか、おい!?


「てやっ!」


 ベッドで仰向けに寝ているレグナに『ふらいんぐぼてぃあたっく』した。


「ごぶぅ?!」


 普段のレグナなら軽量のリース程度なら何の問題もなく受け止めれるのだが、疲労困憊かつ満身創痍のため鳩尾(みぞおち)に体重が食い込み変な声を漏らした。



「あたしねー 1週間もねー レグナに会えなくてねー 6年も会わなくても平気だったそっちの女と違ってねー すごく寂しかったのぉ」


 ……リース?、キャラが崩壊してるんだが


「……そっちの女ってのは僕のことかなぁ?」


 シャルツ、お前はお前でなんで青筋たててるんだ……?


「あれぇ、他に誰かいたっけ? そんなチビチビのクセに髪長くてソバカスだらけで学園モノだったら間違いなく“控えめな委員長”か“図書委員”に納まってそうなやつが だいたいいまどきボクっ娘なんて流行らないのよ」


「い、言ったね……?! このっ、没個性っ!!!」


 リースは凍りついた。


「ボツ……、いま没個性って言った? 仮にもヒロインたる私が……?、嘘…… そんな……」


 シャルツがまだ何か言っているが既にリースの耳には入っていない。

 ボツ……、わたし…没個性……? と譫言のように繰り返している。


 ふと、入り口に果物の詰め合わせらしきカゴを提げたベルを見つけて、レグナは思う。


 頼むからこれ以上話をややこしくしないでくれ……



    ◇



「……ゼクゥ?」


 ナタクは宴会場から離れたところでへたれこんでいるゼクゥを見つけた。


「なんだ エルーか」


 ゼクゥはナタクの死角で煙草を路面に押し付けて消していた。

 大方口煩く煙草を辞めるように言ってくるスティアかと思ったのだろう。


「……何事?」


「星を見てるんだよ 結界がないとよく見えるから」


 ほら、とゼクゥの指した指先を追うと満天の星空が広がっていた。


「……綺麗」


「でしょ」


 ゼクゥは屈託なく笑む。800体の魔物をかすり傷すらなしに倒した震術師ではなく、ただの16歳の少年の笑顔だ。


「……宴会?」


「行かない 僕、そういうの苦手だし」


「……勝利、……立役者」


「行かないって、って苦し……?!」


 ナタクはゼクゥの首根っこを引っ付かんで引きずる。


「わかった、行くから……ヤメッ…死っ……」





    ◇


 王国最強の震術師、スティア・クロイツ・マグナビュートは宴会の席から少し離れていた。


「第3騎士団の全滅か……、わかった こちらには伝えないようにしておく 無用な混乱を招くだけだろう


ああ 結界の修復まではだいたい一週間と言ったところだ 増援? 貴様は私を誰だと思っている? 切るぞ、じゃあな」


 ふぅ、とスティアは大きくため息を吐く。


「お仕事の話ですか?」


 その傍らに柔和な笑みを浮かべる女性が歩み寄る。


「アルムか こちらには来るなと言っ……」


 不意に酷い頭痛が頭を掠めてスティアがよろめく。

 アルムは抱き締めるようにしてそれを支える。


「はいはい そういう意地っ張りはあとで聴きますから」


「……スマナイ」


 と、だけ言うとスティアはそのまま腕の中で寝息を立て始めた。

 本来、誰よりも限界に近かったのはスティアなのだ。だが王国最強の震術師である彼は兵士の前で弱さを見せる訳にはいかなかった。



 ……ちなみにスティア・クロイツ・マグナビュートは既婚者でアルムは彼の妻だったりする。



    ◇


「なぁ、あの金髪の娘の使ってた術ってスティア様の“屈折”と一緒だよな?」

「バルナ様に代わりの新しい『大震』かな?」

「たしかリース、って言ってたっけ?」



 ナタクに引きずられて宴席に入ってきたゼクゥは、兵士達の会話を聴いて顔色を変えた。


「……ナタク、僕ちょっと用事があるから」


「……?」


 ゼクゥは部屋から出ていった。

 ナタクはゼクゥの口調が平常時の惚けたモノではなく『大震』の震術師【限り無き炎】としてのモノで面食らってしまい、彼を止められなかったのだ。




(リース…… リースだと?)


 ゼクゥはその名に微かな引っ掛かりを覚えた。王国の守りの要であるヴァルクリフの役割は何も悪魔に対してに限った物ではない。更に南西に存在する『ライムラント』、通称《本の国》などにも間者を飛ばし常にその動向を探っている。


 その間者が毎年送ってくる上位震術師のリストの、昨年分の中にそんな名前があった気がしたのだ。

 そしてスティアは彼女を記憶喪失らしいと言っていた。


 単なる同姓同名……? それともたった一週間で光の術を使えるようになったのは単に『忘れていたモノ』を『思い出した』だけ?



 ゼクゥは資料室に向かう。平静を装おっていたが内心は焦っていた。


(レグナさんの連れてきたあの少女は……敵……?)


 例えば無属性震術の『壁』の術の類いにそういった記憶へのアクセスを阻む物があったとすれば──?


 記憶喪失を装い一定期間後にその術の効果が切れて打ち解けたはずの彼女がゼクゥ達に牙を剥いたとすれば──?


 ゼクゥは焦っていた。


 だから城内の人間の顔を全て記憶している彼はたったいますれ違った女の顔が見知らぬモノだったことに気づけなかった。


 ぶちゅ



 「   」



 彼は悲鳴をあげようと試みたが何もかもがもう遅かった。




    ◇



「ルシフ お前また派手にヤられたな? 特に左腕、おもしれぇことなってんぞ」


 グラナが腹を抱えてゲラゲラと笑う。


「文句があるなら自分で戦いなさいよ だいたい今回《機械仕掛けの大天使(セラフ・エクス・マキナ)》を戦闘に使えなかったのはあなたがぶっ壊したせいでしょう?」


「はっ 【機神(ライトニング)】の異名を持つ魔王様が泣き言か?」


 ルシフは嘆息する。


「だいたいあなたが出れば【BLADE】も【星の隷属者】も形無しでしょ? なんであんた引き込もってるのよ」


「違うだろ?」


「はい?」


「お前は俺を引きずり出したいだけだろ? だから死なねぇ程度に傷を負ってわざと負けてきた 違うか?」


「……深読みするのも結構だけど、実際にFourthのテスタメントを人間に奪われてるのよ? どうする気?」


「知るかよ たったいまお前が言ったじゃねーか 俺が1人いれば【BLADE】だろうが【星の隷属者】だろうが【機神】だろうが物の数じゃねぇよ」


 グラナは勝ち誇るように言い放つ。

 その言葉が傲りではないことがルシフを苛立たせる。


「とはいえたしかに元から7人しかいねぇ上に、バオウにドレイクまで欠けちゃあ駒が足りねぇな あの調子じゃ【Fourth】は直ぐには動けそうにねーし、【Fifth】のやつはやる気あんのかすらはっきりしねぇ


【Third】のバカは俺でも扱いかねる」


「……今度は何企んでるわけ?」


「逃げた『ベリアルホープ』共をこっち側に引き込む ってのはどうだ?」



 グラナは醜悪な笑みを浮かべた。



(まったく、最悪の発想ね……)






 ・真昼が30秒でイメージしたキャラ



レグナ ……金色のガッシュ クリア・ノート


リース ……とある魔術の禁書目録 インデックス


シャルツ ……GS美神 小竜姫


ゼクゥ ……ブラック・キャット トレイン・ハートネット


スティア ……るろうに剣心 斉藤 一


ナタク ……シャーマンキング たまお


ベル …… .hack//G.U. 揺光



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