BLADE
※この話はこれで終わりのただの短編です 続きませんm(_ _)m
『刃の国』と、呼ばれる国がある。10年と少し前に魔王を倒した『刃の王 (ブレイド) 』ってやつが作り上げた剣術の盛んな国だ。
そこで俺は、国から少し離れた場所にある小屋にいた。
パリパリとポテチを食う女があぐらをかいて行儀悪く座っている。
俺と師匠であるそのポテチ女は格ゲーの対戦中だったりするわけだが、
「クソ……また負けた」
師匠は右手でポテチを摘まみながら左手一本で器用にコントローラーを操作している。しかもめっさ強い。
「修行が足りんぞ」
横目でジロリと睨む着物に長い黒髪を一本に縛った和風系の美人。そそるやつにはそそるんだろうな うん。
……周りがゴミ山じゃなければ
「格ゲーの修行なんかしてどうすんだよ バカ師匠
つかなんか用事あったんじゃないのか?」
………………
「ああ! そうだった」
思い出したようにポンっと手を叩く。どうやらバカなだけじゃなくボケが加わりつつあるらしい。おもむろに立ち上がった師匠は、積み上がったゴミの山と格闘しはじめた。
「おい 師匠?」
「あれ? どこにしまったっけな たしかこの辺に……なんか、引っ掛かって………きゃあ?!」
捜し物は見つかったらしい。が、引っこ抜いた勢いで盛大に転けた。
更に、
「ちょ 助け、きゃあああ?!?!」
……その上にバランスを崩したゴミの山が降り注いだ。
「えーっと……じゃそうゆうことで」
「待て! 帰るな! 見捨てるな! この薄情者ぉぉお!!!」
……結局、俺は1時間ほどゴミの撤去に時間を費やした。
「ふぅ……えらい目にあった
では、気を取り直して、だ」
ぱんぱんっ とズボンを叩き、言う。
「エンシェントアーツ、《ウルスラグナ》
私が魔王と戦ったときに使ってた正真正銘、世界最強の伝説の剣だ。免許皆伝にくれてやる」
「は?」
「とはいえウルスラグナは二対一式、いまくれてやるのは片割れだけだ。存分に世界を見て周り、私の元に戻ってこい
そのとき私が貴様を認めてやったら、ウルスラグナのもう片方を譲ろう」
「ちょっと待て、俺はまだあんたに教わりたいことがいろいろ…──「ちなみにいま出て行かんと殺すぞ」
「え……」
「死ぬか?」
ウルスラグナに手をかけ真顔で言う。殺気すら漂うガチの表情。
「……わかったよ、行けばいいんだろ 行けば」
「うむ それでよい」
師匠が鞘に収まったウルスラグナを投げて寄越す。俺はそれを受け取り鞘から抜き払い、短い感想を口にした。
「……ポテチの油でベタベタなんだが」
…………かくして、俺の冒険は始まった。




