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第35話:拒絶する




おいおい、俺のでもあるんだぞ、それ もっと丁寧に扱えよ ──???


鎧…神……? ──【銃の王】シャルツ・ディバイト・アークエッジ


拒絶する ──BLADE


“力の解放を続ける” ──マスター





(誰だ、お前は)


 レグナは炎をイージスに可変させて防ぐ。


 ──わかってるだろ? このままだとお前は勝てない

 “神に似た者”の起動率はまだ40%程度、徐々に上がって来てる

 6割りまでいけばもう人間に手に届く範囲の外だ


(だから、どうしたってんだ?)


 垂直に落ちる震術の雷を回避する。同時に《機械仕掛けの神》を『ゲイボルク』に可変させる。

 投擲、光の翼がそれを弾き飛ばす。


 ──代われよ 俺がやってやる 一瞬だゼ?


(知るか……!)


 魔弾の射手──、さっきのモノより遥かに弾数が膨れ上がって行く。


(起動率とやらが上がってるのか……!)


 トランス──イージス


 無力化の盾、障壁で攻撃を防ぐのではなく近づく物体の攻撃力を攻撃することで絶対防御を成す神器──、それでも、


(消しきれねぇっ……)


 ガゴォンッ!!


「っ……」


 ──おいおい、俺のでもあるんだぞ それ

 もっと丁寧に扱えよ


 イージスで威力が落ちたとはいえ魔弾の直撃、それで──


「なんとも……ない……?」


 ──ったく、じれってぇな 退けって



 頭の中で声がまるで音叉のように反響を続けて、急激に意識が捻れた。


「っ……なんだっ……?!」


 あまりの痛みにレグナは剣を手放して、頭を抱えてしまう。


 その隙に更に圧倒的な量の魔弾が迫る。


 ──レグナが顔を上げた。


「拒絶する」


 その一言だけで全ての魔弾が停止して、消えた。


「鎧……神……?!」


 シャルツが呟く。どうして──、ウルスラグナは鞘に納まったままなのに……



 ──万色を排除する閃光


 圧倒的な破壊力を持つ白色炎が周囲の全てを吹き飛ばす。


「拒絶する」


 レグナに届かずに炎が消失する。


 ──雷神の弓矢


 無数の雷撃の矢が光速で放たれる。


「拒絶する」


 失速し矢の形を保てなくなった雷が霧散する。


 ──赤き竜の王


 三つ首の竜王が召喚され、ブレスを放つ。


「拒絶する」


 地上最強の威力を持つとされるドラゴンブレスでさえも無力化。


「なによ それェっ」


「“拒絶”だよ」


 レグナは腰のウルスラグナを抜く。


「ウルスラグナ、ね 俺の力を結晶化させて剣の形に集約──、発想はいいが所詮は人間の作った武器だな オリジナルからは数段劣る」


 乱雑に、投げ棄てた。


「お前……?!」


「魔王レヴィアタン・グナスファルガ 親しいやつは“レグナ”って呼ぶけどな」


 にやけるような薄い笑みを浮かべる。その表情は、


「こいつの“元”だよ」


 あきらかに悪魔のモノだった。


 レグナは地を蹴った。


「グングニルの槍」


 マスターの背の12翼が1本の光の槍と化す。


(グングニルまで出せるのか 大分起動率が上がってるな……)


 さて、100パーまで行ったときに人間の“皮”が持つのかね?


 レグナは片手を槍に向かって突き出した。


「互いに媒体が人間じゃ苦労するなぁ ミカエル」


 拒絶する。


 その一言で光の槍が消え去る。


「まあ、俺の方がオリジナルに近いのか」


 ガッ


 予備動作なくレグナが加速した。マスターの喉元を一瞬で掴み地面に叩きつける──、寸前でその手が止まった。


「テ……メッ」 ──邪魔をするなッ


「!!」


 12枚の翼が展開してレグナを吹き飛ばした。



「ふざけんなよ…… “邪魔をするな”ってそりゃこっちのセリフだっての」


 光の12翼、物質化された“光”の性質を持つマナの個体。大気を薙ぎ払い、物理を無視して宙に浮かぶ力を持つ秒速30万kmで噴出する翼。

 ──それを受けたというのにレグナは無傷だった。


 たんっ、と軽く着地すると大気を“拒絶”して高圧をかけた空気の弾丸を生み出す、それを弾こうとしてレグナは手を止めた。


 シャルツ・ディバイト・アークエッジがレグナに銃を向けていた。


「何の真似? それ」


 冗談のように『レグナ』は両手を上げる。


「仲間が死んで終わりなんて……、そんな結末は誰も求めてないんだよ」


「……ヘェ 面白いな じゃあどうするつもりだ? 現状の脅威は間違いなくあれだゼ?」


「っ──、」


「既に『神に似た者』の起動率は7割を超えてる 現実を見ろよ、さもないとお前も死ぬぞ?」



 ──ふざけんなっ


(あーもうめんどくさいやつだなぁ お前じゃあれにゃ勝てんだろ?)


 ──お前、あいつを殺す気だろ?


(あぁ? 当たり前だろ)


 ──やらせて堪るかよ あれは俺の仲間だ 悪魔なんざに消させはしない!


(……はッ 言うじゃないか)


 びきぃっ


(?!)


 拒絶反応──、こいつの“人間”の部分が俺を追い出そうとしてるのか……


(……良いだろう、お前がどこまでやれるか見せてみろ ちっとだけ、貸してやるよ)





  ──殺せ


殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ


 お前は刃だ。刃に感情は要らない。斬り伏せろ。その身体を返り血に染めろ。その眼に肉塊だけを映せ。その力を破壊にのみ使え──!


 頭の中で無数の声が聴こえてレグナは額を抑えた。


 小さく息を吸い込み、


 黙れェッ!!!


 吐き出した。


(っ……これが悪魔の破壊衝動ね……)


 たしかにこりゃきっついわ……

 一瞬でも気ぃ抜くと持ってかれそうだ


 けど……、やれる。

 身体の底から力が溢れてくる。



「……シャルツ、ミスったら俺を殺せ」


「! レグナっ」



 グングニルの槍が飛来する。

 レグナはそれに向かって片腕を突き出した。


 ──『機械仕掛けの神』のときと同じだ。使い方が頭の中に直接流れ込んで来る。


「拒絶する」


 槍は弾かれて消え去った。


 ──この能力は鎧神と同じだ。空間結合の拒絶。空間そのモノの繋がりを断絶する能力。

 どんなに強大な力でも伝動する媒体が備わっていないから無力化される。


 ただ鎧神と違うのは──


「拒絶する」


 後方の空間を拒絶。阻まれた空間に弾かれて、レグナは加速した。


(速いわねェッ……!)


 ──拒絶出来るモノに、制限がない。限界値が存在しない絶対の防御能力。


(万色を排除する閃光、雷神の弓矢、赤き竜の王、グングニルの槍──“拒絶”とやらは全部防ぎやがったわァ ならァ……!)


 障壁。障壁。障壁。障壁。障壁。

 無数の壁を創成する。


「拒絶する」


 ベキベキベキィッ!!!


「ッカな……一撃ィッ?!」


 間合いが詰まる。


(迎撃の術式を……何をすればあの拒絶を抜けられる……?!)


 マスターは白い炎を地面に向けて放った。

 超高温を受けて土が融解する。

 足場が消失、空中のレグナの着地点が消え失せる。


「拒絶する」


 ダンッ


「なっ……?!?!」


 平面形に空間を拒絶して足場を……、


 ガクンッ


「!!」


「ッ……」


 ダンッ


(いま飛ぶまでに瞬間に一瞬体勢が崩れたァ……? 結論は、あれは持続時間が短い! 跳躍まで平面の拒絶を保てなかった、ならァッ!!)


 『神へ還す火』


「拒絶する」


 青い炎が見えない壁に弾かれる。


「“力の解放を続ける”!」


 しかし弾かれた炎は消えずに周囲の酸素を巻き込んで燃焼を続ける。

 やがて、拒絶の防御を無くしたレグナが超高熱の青い炎に包まれた。




「さてェ 次はあんたねぇ シャル──「おいおい 気が早いな トドメも刺さないうちからもう次か?」


 “火葬(クリメイション)”、その名の通りに対象を灰を通り越して塵と化すそれを、レグナは突き抜けた。


「そっか……そういやあんたァ……元々魔封剣使いだったわねェ」


 ──レグナの手には炎属性の魔封剣があった。





「あたしの負け、ねェ……」


 この距離ではレグナの刃がその首を断つまで、おそらく一瞬もかからないだろう。

 だからこそ彼女は切り札を見せびらかす。


「だけど、どーするのォ? この身体ごとあたしを殺す? あんたにそれが出来るわけェ?」


 時間だ。彼女は時間が欲しかった。『神に似た者』の起動率は着々と上がりつつある。いまはおよそ9割ぐらいだ。

 それはインターネットからのダウンロードをイメージするといい。

 100%になるまではその力を本当に自在に振るうことは出来ないのだ。あと数十秒の時間さえ稼げば、最強の天使『神に似た者』の力がほぼ完全に手の内に入る。

 そうなれば、彼女の勝ちだ。


「拒絶する? 魂に関する知識なんてあんたにあるのォ? 本来の魂とあたしの区別なんて出来るのォ?、ねェ?」


 勝てる。彼女は確信していた。

 たった1つの綻びを見落として。


「……済まない」


 レグナの低い声が鼓膜を揺らす。


「あ?」


 謝罪。その意味が出来なくて彼女は一瞬呆けた。

 まさか──、この身体を斬り殺すつもり……?


 そう思考して彼女は綻びに気づく。


(こいつ……?!)


 ──生まれた瞬間に誰もが魂には記号をつけられる。

 名前だ。言霊と呼ばれるその力を標にして魂は形を変える。震術の属性は名前に左右されるという説すらある。レヴィアタンの知識がそこまでを知っている。

 だがリースの魂は眠っている。リースの名ではマスターの魂を区別出来ない。


 だから、レグナは


「アルカディア・WS・エクセリオンの存在を、拒絶、する」


 彼女の名を呼んだ。






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