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第31話:末路



くたばれ ですかね ──Fifth エヴァンス


さァて、とォ 最後はやっぱ、勇者一行と最強魔王の大決戦…… だよなァ? BLADE!!! ──First グラナ



(落ち着け……)


 First グラナは水の底に立っていた。


(この水は能力その物ではなく能力によって象られ魔力によって再現された水だ…… となると《反魔法》は有効! この水によって俺様が溺れ死ぬなんてことはありえねぇ)


 周囲全てが水でグラナの位置だけがぽっかりと空いている。


(だが周囲の水からかかる圧力がある、《反魔法》で水を弾き続けてる以上はこの水圧から逃れる術もねぇ…… だがこれもいまのところ問題は無ェ)


 試しに鎌を振るおうとしが莫大な重量にのし掛かられ動きが鈍い。『魂を刈る者』での突破は不可能だろう。


(ならエヴァンスはどうやって俺様を殺すつもりなんだ……?)


 膨大な量の海水の壁。これはグラナの動きを縛りつけると同時にエヴァンスからの攻撃を防御している。

 さっきエヴァンスの手にはたしかに刀が一振りのみだった。

 あれがラーシャルの持っていたテスタメント、『ムラマサ』でもこれだけの水の壁を貫く威力はないはずだ。──というか昨日今日あれを手にしただけの素人ではテスタメントの力は引き出せない。

 そして震術、魔術による攻撃に対しては《反魔法》は無敵。


(野郎は何を企んでやがる……?!)


 グラナは胸の当たりにふと違和感を感じた。


「なんッ……、ゲホッ、が……」


 突然の呼吸不全。グラナは圧迫感を感じて喉を掻きむしる。


「ちぃっ…… 野郎……酸欠……かっ……!?」


 それは呼吸を行う生物であれば逃れられない殺害方法。最強クラスの魔王であるグラナとて例外ではない。


『ようやく気づきました?』


 水を伝って声が響く。


「エヴァ…ンス……!」


『魔術の使えない貴方にはこの状況を打開する術はない…… せいぜい、苦しんで死んでください』







 ──終わった。


 Fifth エヴァンスの愉悦と狂気で構成された笑みが虚ろなモノに変わった。


(これからどうしようか?)


 エヴァンスの目的はグラナへの復讐。ただそれだけ。

 不必要に人間と争う気はないし、このままBLADEに斬られて終わるのも悪くはないかも知れない。


 そんな風に考えていたエヴァンスの鼓膜が、ノイズに似た小さな声を捉えた。


『ゴエ……ティア……』


「?」


 その声は水を伝ってエヴァンスに届く。


『テウギア……ゴエティカ……』


(これは……詠唱───?)


『パウロの………術………」


「ばッ……バカなッ?!」


『アマル……デル……! 七十二の、柱に、縛られし……大いなる………闇、よ…… その力を、……我が前に、示………せ………っ!』




 レ メ ゲ ト ン


 闇属性の魔法が天地を貫き伏魔殿全体に激震が走った。


 城全体を崩落させ、粉砕し、それでも止まらずに“闇”は天高く伸びて行く。






「よォ 俺が魔術を使えない なんざ誰から聴いたんだ?」


「……っ……………」


 乗し掛かった落盤がエヴァンスに身動きを取れなくしていた。『時間旅行』を発動しようと試みるが、大量の水の召喚に魔力の大半を注ぎ込んでしまったためか上手く行かない。


 見下ろすグラナと見上げるエヴァンス、勝者と敗者は視線を合わせる。


「……『反魔法』が、消えて、る……?」


「……ああ 俺自身が一度でも魔法を使うと消える 元々そういう制約の元に成り立ってた能力だからな」


 ったく、俺の無敵をぶち壊してくれやがって…… そう呟いたグラナの表情はどこか楽しげだった。


「久々に冷や汗かいたぜ エヴァンス」


「僕は冷や汗なんてもんじゃありませんでしたよ……」


 諦念の過る笑み。手札を使い切って、それでも及ばなかった弱者の笑顔。


「……最後に何か言い残すことはあるか?」


 グラナがカラミティを構える。


「そうですね……」




 くたばれ ですかね。



 ざんっ




「さァて、とォ 最後はやっぱ、勇者一行と最強魔王の大決戦…… だよなァ? BLADE!!!」






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