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【短編】習作・アイデア切り抜き

花と団子

作者: 結崎 梟

あらすじ・タグのご確認をお願いします。

 入口からモクモクと湯気とともにおいしそうな香りが漂う一軒の店があった。

 ここは大衆食堂「狐庵」

 今日も料理に精を出すおかみさんと仕事終わりの楽しみに一杯ひっかけにやってくるお客様の物語。


 がらがらと木枠に曇りガラスの格子戸を開けて中に入ると寒風沁みるこの季節に有難い温もりを与えてくれる空気といらっしゃいの声。

 開店からそう時間もたってないだろうに人がそれなり入っている。

 美味しい料理に心のこもった接客、美人のおかみさんがそろえば通いやすいというものだ。

 温もりを少しでも逃がさぬようにそそくさと戸を閉めて空いてるカウンターに座る。


 お仕事お疲れ様とねぎらわれ、温もるにぴったりなこの店の定番メニューの焼き豆腐の餡掛けをお通しをとしてもらい匙ですくって一口、二口と火傷しないように冷ましながら放り込み、ハフハフと白い息をたてながらぬる燗一本とオススメを頼む。

 常連ともなればオススメを頼めばその日上手く仕入れれたものだけでなく、好みまでおしはかって出してくれるのだからこの店が好かれるのも仕方ないのだ。


 どうぞ。と差し出されたのは肉団子。これは花団子ですと教えてもらわばなぜ花なのかと問う。

 実は花粉を練り込んだ団子だという事で花粉団子ならぬ花団子という。


「おかみさんは花粉症じゃなかったっけ?大丈夫なのかい?」


 そう聞けば覚えててくれたの?と楽しそうにしつつ、手ぬぐいで顔を覆って水と小麦粉と花粉を練ってもとを作り、肉餡に混ぜて作ったから今はもう花粉舞ってないし大丈夫よと。

 作ってるときは可愛らしいくしゃみをしつつ美味しいものを作るために頑張ってくれたんだろうなと考えると、嬉しくて仕方なく一口でぱくりと団子を食べた。


 ほのかに香る花の香りと肉汁を逃がさないように仕立てられたジューシーさ、僅かにもっちりとした歯触りにこれはおいしいで笑ってみせると相手もよかったと微笑み返してくれる。


 隣に座ったご新規さんや顔見知りの常連にも花団子を勧めつつ今日もにぎやかに狐庵の一夜は過ぎていくのであった。



お読みいただきありがとうございました。

習作ですので様々なご意見ご感想のほどよろしくお願いします。

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