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太陽の光が眩しい。木々の緑が生命を感じさせる。今年の夏休みが始まった。
しかし、夏休みが始まったからと言って学校に行かなくなるわけではない。僕の学校では、文化祭が夏休み明けすぐにあるため、夏休み中にその準備を行わなければならないのだ。そのため僕は今、いつも通り学校に向かって歩いている。いや、いつもとは違うことが一つあった。
僕の隣では優ではなく光がいたのだ。今まで光とは帰りこそ一緒に帰れど、朝は一緒に行くことはなかった。朝、わざわざ待ち合わせるのが気恥ずかしかったというのもあるし、僕が優と一緒に行っていたからというのもある。
「かげくんと2人で登校するって……なんだか新鮮だね」
「うん。でも、なんだか嬉しい。ひかりとの距離が少しづつだけど縮まってる気がして」
「そ、そうだね」
ひかりは恥ずかしそうにもじもじする。なんだか小動物的で可愛い。
「それにしても、まだ信じられないよ……僕がひかりと付き合ってるなんて……」
「……かげくんは自分に自信が無さすぎるよ」
「でも、ひかりに釣り合う容姿じゃないし……」
「かげくん、素材は良いと思うんだけどな……」
ひかりはじっと俺の顔を見てくる。少し恥ずかしい。
「あ、別に今のままでも十分私はかっこいいと思うけど……おしゃれしたらもっとかっこよくなるのに勿体無いな、と思って……」
ひかりは思案顔になる。そして、何かを思いついたように手を叩いた。
「かげくんおしゃれ化大作戦をしよう!」
「へ? おしゃれ化?」
「うんうん。かげくんヘアセットの仕方とかも多分知らないでしょ?」
「確かに、知らないけど……」
俺は返事こそしたが、ひかりの突然の思いつきに驚きを隠せなかった。
「でしょ? だからこの機会にそれも学んじゃおう!」
「……でも、男のヘアセットの仕方なんかひかりも知らないんじゃ」
「大丈夫! そこは心当たりがあるから!」
ひかりはそう言ってニコニコと笑う。本当に心当たりはありそうだ。
(……でも、男のヘアセットの仕方を知ってるってことは……男だよね?)
俺はそう思って複雑な気持ちになる。
(……ひかりとどういう関係なんだろう?)
俺の不安は膨らんでいく。それが顔に出ていたのだろうか。
「あ、男の子だけど、かげくんが心配するような関係じゃないから」
ひかりがフォローしてくる。
(やっぱり男なのか……でも、心配しなくても良いって言ってるし……)
ひかりの言葉だけではどうにも不安は収まらなかった。
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