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俺は、体育館裏に一人で立っていた。そう、俺はこの場所でリーナに告白しようと思っている。俺にとっての超重要イベントだ。
俺は、無理にひねった場所で告白するよりも、シンプルなものを選んだのだ。
(結局、場所よりも気持ちをいかに伝えるからだからな)
俺は、そう気持ちを引き締める。
告白など俺の人生で初めてのことだ。もちろん緊張している。しかし、もう覚悟は決まっているのだ。たとえ振られると分かっていても、この気持ちを伝えたい。
(いや、振られるとは決まっていないな……少しは可能性が……)
思考がまとまらなくなってきた。頭の中を様々な感情が渦巻く。
その時、澄み渡るような声が響いた。
「優くん。お待たせしました」
リーナが来たのだ。7月の暑い日だが、リーナの周りだけどこか涼しげだ。きれいな金髪が風になびく。
「お、おう」
俺は、思わず見とれてしまい反応が遅れた。
「それで、どうしてこんな場所に呼んだんですか?」
リーナはそう言って首をかしげてくる。
「いや……な……」
「何か相談でもあるんですか? 例えば……自分の秘密とか……」
リーナは何かを思い出すような顔をする。
「……まあ、そんなところだ」
秘密といえば秘密なので俺は頷いておく。
「そうですか……まさか優くんも……」
リーナも俺の返答に顔を引き締めてくれる。これは、俺も早急に思考をまとめる必要ある。一応、言う言葉は考えてきたのだが……
「リーナ。好きだ」
俺は気づいたら、そう行っていた。考えてきた言葉など関係なくなっていた。どこからか気持ちが湧き上がって溢れてきたのだ。
「俺。リーナが好きみたいなんだ」
俺はもう一度繰り返す。言葉を噛み締めて。リーナは驚いたような顔をして立ち尽くしている。言葉は返ってこない。
「リーナ。俺と付き合ってくれないか?」
俺は改めてそう言った。
俺の言葉にリーナは頰を赤らめた。しかし、その後少し困ったような顔をした。
「……そうですか……」
それだけ言ってリーナは悲しげな表情を浮かべる。
「……やっぱり、俺なんかじゃダメか?」
まあ、当たり前の話かもしれない。俺みたいな暑苦しい男がリーナみたいな可憐な美少女の隣に似合わないことなんてわかりきっている。それなのに、この胸の痛みは何なのだろう?
「……いえ、優くんは魅力的だと思います……」
「お世辞なんていいんだぜ?」
「いえ、お世辞などではなく……私も優くんのことが好きなんです。しかし……付き合うのは……」
ああ。俺は、振られたのだろうかと思う。しかし、リーナは言葉を続けた。
「……本当は、ワタシも優くんと付き合いたいのですが……優くんをきっと不幸にしてしまうと思うんです……」
その言葉を聞いて俺は希望を見出した。悲しみの中に咲いた一輪の希望の花だった。
「俺は、不幸になんてならない! どんな不幸が降りかかってこようと俺はリーナのことが好きな気持ちが同時に俺に幸せを運んでくれるから!」
リーナがじっとこっちを見つめてくる。
我ながら恥ずかしいことを言っていると思う。しかし、これは言っておかなければならない。
「……悲しみに沈むことになるかもしれませんよ?」
「……そんなことは起こらない。いや、俺が起こさないから!」
そこで俺はリーナに笑いかける。そして、手を前に出す。
「俺と付き合ってくれ」
俺は改めてそう言う。すべての気持ちを込めてもう一度。
「……本当にいいんですね?」
「ああ、どんと来い」
「……ありがとうございます」
そう言ってリーナは俺の手を取った。今にも泣きだしそうなはかない笑みを浮かべて。
騒がしい蝉の声が耳の奥に残った。
本日二本目の投稿は、告白(優version)でした。どうでしたでしょうか?
本日三本目の告白(かげversion)もたのしみにお待ちください。




