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「リーナ。今日は付き合ってくれてありがとな」
「いえ。ワタシも月野くんの誕生日プレゼントは買いに来る予定だったので」
日曜の午前中。俺は、リーナと近くのショッピングモールに来ていた。あまり来ることのない場所だ。そんな場所に来たのは、かげの誕生日プレゼントを買うためである。俺の誕生日からまだ数日しかたっていないが今日はかげの誕生日なのだ。
「……それにしても、かげにプレゼントとか何を渡したらいいんだ?」
「……今まではどうしてたんですか?」
「いや、な……昔から一緒にいたせいか誕生日とかそういうのは適当に流してきたっていうか……」
俺の言葉にリーナが少し呆れた顔をする。
「……俺は、適当なやつなんだよ」
「知っています」
自分で言った言葉だが、リーナにそう言われると少しむなしくなる。
「……まあ、そういうところもいいんですけどね」
「え?」
「ワタシは優くんのそういうところも好きだと言っているのです」
聞き間違いかと思って聞き返したが、もう一度同じことを言われて戸惑う。そして、恥ずかしさのあまり顔をそむける。
「そ、そうか……」
異性として好きと言われたのかと思って動揺してしまったが、改めて考えると友達として好きということなのだろう。と、納得しようとしているとリーナが追い打ちをかけてくる。
「あ……もちろん異性として好きなんですよ?」
「な……きゅ、急にどうしてそんなことを……」
「いえ……気まぐれです」
からかっているのかと思ってリーナの顔を見ると、真っ赤になっていた。そんな顔をされたら、リーナの言葉が裏付けられてしまうじゃないか……
「そ、そうか……気まぐれ、ね」
「……はい」
そう言ってリーナが恥ずかしそうな顔のまま俺の目をじっと見つめてくる。そんなに見ないで欲しい。ただでさえ、この前からリーナの顔を見るだけでドキドキしてしまうのに……
「そ、それより、かげの誕生日プレゼント考えようぜ……」
俺は、思わず話をそらしてしまった。こういう経験が皆無の俺は、今の状態に耐えられなくなってしまったのだ。
(何してるんだ……せっかくリーナが勇気を出していってくれたんだろうが……)
自分を心の中では責めるが、態度に表せない。ほかのことならどうにでもできるのに、今回だけは行動に移せないのだ。
「……そうですよね。月野くんのプレゼントを選びましょう」
俺が行動に移せない間に、リーナはそう言った。いつも通りふるまおうとしてくれているのが分かった。だからこそ、俺の胸は痛んだ。しかし、その後も俺はリーナの言葉に報いることはできなかった。
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