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「それで……本当にジェットコースターに乗る?」


 そう言ってひかりが僕の顔を覗き込んできた。学校で同じことをされた時も可愛いと思ったが、今日は休日でひかりもオシャレしているのでよりいっそう可愛く、心臓が飛び跳ねた。


「……いや、さっきは乗りたいって言ったけど実はあまりジェットコースター好きじゃないんだよね……」

「ふ〜ん……ジェットコースター好きじゃないんだ? 意外とジェットコースター怖がってたりする?」


 ひかりがにやにやして僕をいじってくる。最近ひかりは、僕に気を許して来てくれたのか、こんな感じで他のクラスメイトには見せない様な顔を見せてくれる。そのことが実は結構嬉しかったりするのだが、今は関係ないか……


「……ちょっとは怖いよ。悪い?」


 いじられたことに対して少し不満をにじませた答えを返す。だが、ひかりは「へ〜……かげくんは怖がりなんだね〜」とか言っていじってくる。


 少し仕返しがしたい。その時、僕の目にはあるアトラクションがうつった。


「……そんなこと言うなら、ひかりは怖いものなんてないよな?」


 ひかりが急に雰囲気が変わった僕の顔を「へ?」と言って凝視した。














 ◆◆◆


「……こ、怖くなんてないよ!」

「そんなこと言いながらぶるぶる震えているのは誰だろうな〜?」

「……うっ……これは……武者震いかな?」


 僕たちは2人でお化け屋敷に入って来ていた。ジェットコースターを僕が怖がっているといじったことに対するちょっとした仕返しだ。僕はお化けとかは怖くないのだが、ひかりは無理っぽい。「こ、怖いわけないじゃん」とか言いながら足をがくがくさせている様子は、Sっ気などない僕も少しからかいたくなるくらい可愛い。


「……何も出てこないでよ?」


 ひかりがそう言っているが、お化け屋敷なんだから何かしら出てくるだろう。実際、そこの扉の影とか……


「……うらめしや〜」


 ほら、なんかテンプレみたいなやつが出てきた。


「きゃっ!」


 ひかりが驚いて飛び跳ねた。そして、こっちを涙目で見てくる。お化けよりひかりの方がうらめしそうな顔をしている。その様子がなんとも言えず可愛くて、思わず手が伸びて頭を撫でてしまう。無意識だ。

 ……日頃、妹を撫でているので癖がついてしまったのだろうか?

 とにかくこれは謝った方が良さそうだ。好きでもない男に頭を撫でられて嫌じゃないわけがない。


「……ごめん」


 急に頭を撫でたことを怒っているだろうなと見ると、ひかりは顔を真っ赤にしていた。

 僕は手をどける。


「……」


 すると、ひかりは何も言わずに僕の手に自分の手を絡めてきた。


「……あの……ひかりさん?」


 僕は急な出来事に動揺してなんとかそれだけ言う。


「……手、つないでて……」

「……うん」


 可愛い顔を真っ赤にしてそう言われてしまっては僕は頷くしかなかった。

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