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 4時間目の授業の終了のチャイムが鳴った。


 昨日、美夜を撫で続けることとなったが、今朝はしっかりと起きて学校に来ることができている。これも進歩だと思う。

 ちなみに、先週ひかりに足が速いと褒められてから、うれしくて毎朝走るようにしている。我ながら単純だが、これのおかげで朝起きる習慣がついてきたんだと思うのでこれからも続けたい。


「でも、おなかが空くのだけが難点だよな……」


 思わずそう漏らす。朝走るとおなかが非常に空くのだ。

 今日もいつもの4人で食堂に行くかと思って横を見ると、ひかりがおずおずといった感じで四角い箱を差し出してきた。


「あの……かげくんと前に約束してた通り、お弁当……作ってきたよ?」


 四角い箱はお弁当だった。周りから視線が集まりまくっている。


「……もしかしていらなかった?」


 ひかりが不安そうに眉を下げる。


「……いや、めちゃくちゃ嬉しいよ」


 僕は、周りの視線は無視することに決めた。僕の言葉にひかりは安心したのかふにゃっと顔をほころばせる。


「なら、作ってきてよかった……」

「うん。ありがとう。……食べる場所は、いつも通り食堂でいいんだよね?」


 この学校の食堂はお弁当の持ち込みがOKなのだ。僕とひかりはお弁当があるが、優とリーナはないので食堂に行ったほうがいいだろう。

 ひかりも頷いたので食堂に行くことになった。










 ◆◆◆


「……弁当か……いいな」


 優が睨むようにしてそう言ってきた。

 優にまでそんな目で見られると本当に申し訳なくなってきた。まず、どうして僕にだけお弁当を作ってきてくれたのだろうか……


「ワタシでよければ明日から作ってきましょうか?」


 リーナがかなり優に接近してそう言った。優は急な出来事に顔を赤くして戸惑っている。


「リーナにそんなことを頼むわけには……」

「大丈夫です。料理は得意なので」

「……じゃあ……お願いしようかな」


 優も美女のお弁当の誘惑には勝てなかったようだ。それにしてもリーナはすごく積極的だな、と思った。


「……食べないの?」


 ひかりがこっちを覗き込んでくる。昨日までと席の配置が換わって隣にいるのでひかりからいい匂いがしてくる。心臓が少し高鳴る。


「……食べるよ」


 お弁当箱は二段になっている。

 走っておなかがすいているのでありがたいのだが、僕のためにお弁当箱まで買ってくれたんじゃと思って申し訳なくなる。実際ひかり自身のお弁当は一段だ。


 僕がそんなことを考えているとひかりがまた不安そうな顔でこっちを覗いてきたので蓋を開ける。


 すると、きらびやかな料理の数々が姿を現した。本当にこまごまとたくさんの種類の料理が詰め込まれている。しかも、冷凍食品など全く使われていないと一目でわかる。


 まだ光がじっとこっちを見てきている。


 僕は、料理の数々の中で最初に卵焼きに箸を伸ばす。それを口に運ぶと、優しい味が口の中に広がった。


「おいしい」


 僕は素直にそう口にする。僕の好みの甘めの卵焼きだ。僕は、あまりのおいしさにすぐに次の料理に手を伸ばす。……これも当たり前のようにおいしい。


「毎日食べたいくらいだな……」

「じゃあ、毎日作ってきてあげるね!」


 僕が思わずつぶやいた言葉にひかりが食いついてきて、嬉しそうにしている。


「でも、さすがにそれは申し訳ない……」

「いいの! どうせ自分とかお姉ちゃんの分も作るから」


 申し訳なくて一度何とか断ろうとしたが、それをスルーされてしまえば胃袋をつかまれてしまった僕に抵抗しようという意思はなくなった。


「……お願いします」


 僕は、欲求に従ってお弁当を作ってもらうことにした。

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