最強じゃね?
おれは薄暗い部屋から、ルックスは好みだけれども、正確が微妙な、いや、むしろ酷いともいえるロリに連れられ、石造りの廊下を歩き、階段をあがり、外に出ることができたのだが、おれはそこで目を疑う光景を目にしていた。
「マジかよ・・リアルな城だ。」
おれが目にしたのは、どこかの有名な画家の絵画に描かれた壮大な城だった。
その城は、ヨーロッパ風の洒落た感じのそれだった。
「呆けてないで、早く歩きなさいよ。」
ロリに諭されながら歩みを続けたおれは、城の中へと入っていく、しかし一つ疑問があるのだけれど、目の前を悠然と歩くロリに話しかけても何か答えてくれるとは思わないので、仕方なく後ろを雛のように続いて歩くしかなかった。
数分、城の中を歩いたけれど、不思議なことに、だれとも合わない。これだけ大きな城なのだから、使用人の一人や二人くらいいてもいいものだと思っていると、一つの扉の前にきた。
「この部屋でアリス様がお待ちになっているわ、もし無礼なことをするならば、息の根を止めるわ」
(このロリ、さらっと怖いこと言いやがって、ビビるじゃねぇかよ。)
おれは心の中でロリに不満をいだきながらも、緊張の面持ちで扉をあけた。
「お待ちしておりましたわ!どうぞこちらにお座りになって。」
扉を開けた先には同い年くらいの美少女がいた。
恐る恐る部屋の中へと足を踏み入れたおれは、案内された椅子に座って、部屋を見渡した。その部屋は豪華絢爛といわけではないが、それなりに装飾が施されていた。
目を泳がせて部屋をみていたが、やはり美少女の方が気になってそちらに目をやると、美少女が話しかけてきてくれた。
「私は、アリス・メイル・ドラグニアと申します。このドラグニア王国の第7王女を務めています。この度は誠に身勝手なことなのですが、次世代の王権者を決める式がありますので。あなた様を召喚しました。よろしければ、あなた様のお名前を教えていただいてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、えーと、おれは黒鉄ルキアっていう、ルキアでいいよ。」
(召喚?王権?王女ってお姫様だよね?ドラグニア王国?てかここどこ?あー、もう、わからないから、なんでもいいか。)
おれの頭の中は完全に真っ白になって、何も考えられなくなっていた。むしろ、奇想天外すぎて、どうでもよくなっていた。
「ルキア様ですか、かっこいい名前ですね。ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそありがとう。自分でも自分の名前だけは気に入ってるから、褒めてもらえて嬉しいよ。それと、敬語は使わなくていいよ。もっとラフに話してくれて大丈夫だから。」
「えー、それじゃ、ありがとう。ルキア!いろいろと説明したいんだけど、時間がないから、一つお願いがある!私の右腕になって力を貸して!」
うん、本当に説明が欲しいのだけれども、こんな美少女のお願い、後先考えずに答えるに決まってる。おれになにができるかは知らないけどとにかく、どうせ前の世界で生きてたって、つまんないだけだから、新しい生き方ができるなら、おれは・・・強くなりたい。
「わかった。おれなんかでよければ全力を尽くしてアリスについてくよ。」
この時は何かできると思っていた。こんなおれでも命をかければ、何かをなし得ることができるのだと、おもっていた。
かっこいい言葉をいうのは簡単だ、なんでもそうだ、口で言うのは簡単なんだ。おれは、それをこれからしることになった。
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「えーでは、ドラグニア王国第7王女、アリス・メイル・ドラグニアが召喚。ルキア!そなたのジョブは、闇属性の魔道士!」
リビアが愕然としている。アリスは微笑みながらおれを見ている。
(闇属性の魔道士って最強じゃね?いや、最強だろーーー!!!)
けれど、一人で歓喜できるのは、数秒のあいだだった・・・