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最弱ジョブからの道のり  作者: ponpoc
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エピローグ

 賑やかな街をただ歩く、人ごみの喧騒が耳障りになってくる。そんな豊かな街を目的もなく歩く、歩く、歩く、どこへ行くわけでもない、何かを探しているわけでもないのだ。いや、正確に言えば、行くべき場所も、探さなければいけないものも、それらすべての目的がわからないのだ。

 そんな時だった、人ごみをかき分けるように、ガラガラと人をつんだ荷馬車が大通りを進むのが目にとまった。言うまでもなく商品である奴隷がこの街に運ばれてきたことは、誰もが疑うことないのだ。

 みな、品定めというふうに馬車につまれた奴隷を見る。俺もそんな人間の一人だ。奴隷を買うわけでもないが、馬車につまれた人をみていた。


 (死んでいる・・・)


 それが素直な感想だった。馬車につまれた人間の目は絶望し、生きる理由をなくしている。

 男の奴隷は労働を酷使され、女の奴隷は貞操を蹂躙される運命には抗えないのだろう。俺にはどうすることもできない、そして再び歩き出す。その場から逃げ出すように。

 広間の掲示板を眺めれば幸せな報せも書いてある、しかし、隅の方には賞金首のかかった者たちの張り紙もされている、その中に、だんとつに賞金がかけられているものがある、似顔絵はない、ただ名前と、かけられた賞金の額が書かれているだけだ。

 DEAD OR ALIVE ルキア   3億金貨

 その場から立ち去ろうとした時だ、筋骨隆々のおっさんが話しかけてきやがった。


「おい!そこの兄ちゃん知ってるか、このルキアってやつは人間でありながら闇魔法が使えるんだとよ。いつ命とられるかわからん。それに、最近はこのバーテビア地方にいるみたいだぜ!だからこの街にもきてるかもなぁ、まっ、気ぃつきてくれや!」


 (ちっ!) おれは心の中で舌打ちをしつつも、無言でその場を去ろうとしたときだ、また奴隷を積んだ荷馬車が広間の前を通ろうとしていた。

 今度の荷馬車には獣人も人間も積まれている。おれはイライラしていた。別に奴隷制度に対してではない、この世の理不尽でもない。ただ、あの目だ。死んだ目を見るのがイライラする。まるで・・・あいつの目を見ているようで・・


 おれは何気なく馬車を横目でみていた。思ったとおり、みな、目が死んでいる。だけど、一人の少女を、無意識のうちに目で追ってしまっていた。



             *===*===*===*===*===*


 その日の夜、おれは今日運ばれてきた奴隷たちの収容所に忍び込んだ。目的は・・・一人の少女を連れ出すため。

 

 誰にも気づかれずに少女のいる檻の前まできた、おれはこの少女が寝ていると思っていたが、少女は起きていた。

 その少女は顔をこちらに向け、闇夜のなかにただずむ一人の青年を見つめた。

 「お前、名前は?」 

 青年が問いただした。少女は酷く冷めた口調で口を開いた。

 「ルラ・エリーゼ・・・あなたは、何?」

 「おれはルキアっていう。ここからお前を連れ出す。だから、黙ってついてこい。」

 ルラは小さく頷いて、今にも折れてしまいそうな細い足で立ち上がる。

 「じゃあ、ここからは派手にいこうか!」

 ルキアの足元からいくつもの手が伸び、檻を引きちぎり、他の奴隷の檻もすべて引きちぎると、レンガで作られた壁を破壊し始めた。

 すぐさま、武装した衛兵たちが駆けつけにくる。檻から這い出た奴隷たちも一人の青年に目が止まった。そして誰もが恐怖して、怯えて彼を見たいた。

 けれど、ルラは、ルラだけは、目を輝かせながら、ルキアを見つめていた。

 「少し暴れただけでも、けっこう集まるんだな。」

 ルキアは無表情のままだったが、ルラにはわかっていた。楽しんでいるということが。

 「奴隷にされるお前らに問おう、新しい世界で生きてみたいなら、アリスを探せ!!そしたら一緒にこの世界を壊せ!それと、兵士さんたち集まってもらってありがとう。もし生き残ったら、頑張って自分の主を守りな。ﺷﻴﻬﻴﻨﻮﻛﻴﻮﺃﻭﻫﻮ ﺁﺟﻴ�ﺍﺃﻭﺯﺎﺭﻭ死への重圧」

 ルキアは魔法の詠唱を終えると手を床に押し付ける、と同時に兵士たちが苦しみはじめ、膝を折り胸を抑え悶え苦しんでいる。

 ルキアはルラの手をとり、歩き出した。

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