〜ぷろろーぐ〜
初☆投稿作品!面白く読んでいただきたいなぁ‥‥と私は考えてます
――――貴方に逢いたい。
十年前のあの寒い冬の日から募り続けている想い。どれだけの想いにこの身を焦がし続けているのだろう。
だけど―――。
この想いは貴方には届かない。どれだけ想っても貴方には逢えない。
だって、貴方はこの町からいなくなったから。
――――貴方に逢いたい。
今でも鮮明に思い出せる。
あの時のことを―――。
◇
―――津々と降り続ける雪が身体から温かさを奪っていく。
―――足の周りに広がる朱色が、身体から熱を漏らしていく。
森の中。
半分以上雪の中に埋もれながら“私”は息絶えるのを時を静かに待っていた。
どうしようもない脱力感。
どうしようもない情けなさ。
どうしようもない――絶望感。
生を諦め、死を受け入れ、来世のことを願いながら、ただ静かに待っていた。
だけど、“貴方”が現れた。
がさがさと茂みを揺らして、ひょこっと出した頭。貴方は驚いたように目を丸くして私を見つめた。私は既に動く気力すら失い、冷めた思いでその様子を見つめていた。
「‥‥‥だいじょーぶ?」
おどおどと私の前にしゃがみ込み、そっと私の身体に手を這わせた。
温かい手だった。
冷え切った私の身体に、その温かさは優しく染み込んだ。それと同時に疑問も湧いた。
どうして、と。
どうして優しくするの、と。
そんなことはお構いなしに貴方は私の上に積もる雪を払いのけてくれた。
「あ‥‥けが‥‥‥‥」
足にある浅からぬ裂傷を見た少年は踵を返して、もと来た道を戻っていった。
その時、私は再び絶望した。
貴方の優しさに救われた気がしていたから。見捨てられたと思って、絶望してしまった。
―――だけど、それは違っていた。
また、うっすらと身体に雪が積もり始めた頃に貴方は戻って来た。小さなリュックサックを背負って、毛布を両腕に抱えて。
貴方は私の傍らに、冷たい雪原に膝をついて、リュックサックから救急箱を取り出した。その中から消毒液とガーゼと包帯を取り出した貴方は傷の手当を始めた。
傷が痛み、呻く私に貴方は優しい言葉を投げかけてくれた。
「大丈夫だよ?我慢してね?」
初めてなのだろう。
悪戦苦闘しながら貴方が巻いた包帯は、ちょっとだけ歪んだりしていた。
手当の終わった私に貴方は持ってきた毛布をかけてくれた。
他にも鞄の中からミルクや魚を取り出して、私に食べさせてくれた。
そうこうしている中に夕方になって、貴方は
「また明日、来るからね」と言い残して帰っていった。
その時にはもう、貴方に想いを抱き始めていたのだろう。
貴方は約束通り次の日も来てくれた。違う。毎日来てくれた。
私の怪我も治って、一緒に走り回ったりした。
それは私にとって、とっても充実した幸せな日々だった。
―――でも、そんな日々は長くは続かなかった。
雪の溶け始めた春先。
貴方は私に抱き着きながら泣いていた。とめどなく、大きな声をたてて、涙が尽きてしまうのではと心配するほどに。
「ぼく、おひっこし‥‥しちゃうの‥‥とお、い‥‥まちに」
貴方の放った言葉に私は何も言えずに、そっと寄り添うことしか出来なかった。
「いや、だよ‥‥会えなくなるの‥‥やだ、なのに‥‥」
私も同じ気持ち。
貴方が居たから今の私がある。出来るならば、貴方から離れたくない。でも、私には引き留めることが出来ない。
「だ、から‥‥きみに‥‥プレゼント‥‥わす‥‥れないで」
そういって取り出したのは赤色の首輪だった。その裏には文字が拙い字で書かれていた。
それを貴方は私の首にそっと巻き付けた。私が小さく首を動かすと綺麗な鈴の音が聞こえる。
「わす、れ‥‥ないで、ね?‥‥‥―――?」
最後に呟かれた言葉は余りに小さかった。それでも、私の耳には届いた。それは貴方が私に贈ってくれた最高のプレゼント。今、私が名乗っている“名前”だった。
「ばいばい‥‥―――」
そうして、貴方はこの町を去った。
◇
―――貴方に逢いたい。
回想に浸っていた心を現実に回帰させ、私は決心していた。
―――逢いに行こう、と。
忘れられているかも知れない。
―――それは嫌だ。
受け入れてもらえないかも知れない。
―――そんなの怖い。
それでも、いい。
忘れられたのなら、一から。
受け入れてもらえないなら、
「感謝のお礼」だけ。
私は決めた。
―――貴方に逢いにいく。
私は一つ想いと共に、走り出した―――。
、
いや、もう、何て言うのでしょうか‥‥‥情けない?文章力でスイマセン、としか。色々と思うところはあるのですが‥‥‥まぁ、いいかな、なんて思ったり。 今回はシリアス(?)ですが、回を経るごとにヤバくなっていく予定です(笑) 次回更新は‥‥なるべく早くします。