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僕は切望する  作者: 沖ノ灯
4/27

始まり4

「これが使い魔なの?初めて見たぁ。」

可愛いと言われてもシルフィアは不満げだ。

タシームが少女の周りを誇らしそうに、ゆっくり歩いている。

ジンは、ゴミの中から尻尾で器用に何か拾うと

「これは、お嬢様の物であろう?」

手じゃなくて尻尾渡ししている。

そこには無残に曲がった杖があった。

「ちょっと見せて。」

中が金属で、周りを木材で覆ってある。

ずいぶん、荒っぽい作りの杖だ。

「わたし、魔力の制御が上手くできなくて、しかも合うのが木じゃなくて。」

「それだけ出力が高いと金属は熱を持つ、だから木材で覆うのか。」

「スペアも含めて5本も持ってきたのに、全部壊れちゃった。」

「5本の杖を壊すだけ、発動してきたのか!?」

コイみたいにフガフガしてる。


「ま、ひとまず仕事させてもらうからね。

まず、正規のゲートで来てないだろう?西か東か、どっち?」

「えっと、シマシマのシャツ着たオジさんだった。」

「西か、いくら払った?」

「んっと、いくら持ってるか聞かれて700万シルトって答えたら、日本円に350万円に両替してくれました。」

西のゲートのシャウマンの奴、ぼったくりだ。

仕事が増える。

「日本円とシルトは、ほぼ同じ貨幣価値にされてるよ。

若いのに、大金を持っていたんだな。」

「遺産だったから。」

二重に凹んでる。

「不躾で悪かった。うーん、いつから来てる?」

「あー、3年前の・・・」

「季節でいいよ、おそらく非正規でも登録くらいしてあるから。」

「来た時、サクラが一杯咲いてた。」

「それなら3月か4月、ミカエラ・ボッシュかな?」

「ハイ・・・」

「え?タメ・・・同い年か。」

「あははは・・・」

その時、ポケットのスマホが鳴った。

「はい、ギンゴです。」

『ギンゴ君、篠崎だけど、今から来れるかな?』

篠崎本部長補佐だった。

事件が起きたらしい。

『住所言うけど、いいかな?』

メモを取ろうとしたら、ミカエラがソウッと歩きだした。

ジンに後を付けるように頼む、まだ居所を確認していない。

「無垢な童女の後をつけるとはストーカーのようで好かん。」

クネクネしてるのを急かすと、渋々追跡し始めた。

メモを書き終えると、ミカエラもジンの姿も消えていた。

暗いビルの間の空が、白みかけている。

夏の夜は短くて、どうも寝るタイミングを逃してしまう。

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