トカゲのシッポ7
キロエの笑い声が響く。
「アーッハッハッハ!見える?ねぇ、これ見えるよね。」
アミグ総括が使い魔を配備しろ、と小さな声で指示すると、まるで聞いていたかのように
「おっと!お嬢さんには近づけさせないよ、これ見える?」
ミカエラに天井に空いた穴からライトが当たる。
グルグルに巻かれた縄の胸のあたりに、何かが光って見える。
アミグ総括がイラついてるのが伝わってくる。
「何か、見えるかっ?」
近くにいる誰かが
「おそらく時限爆弾かと・・・」
ライトに照らされたミカエラの手が赤く染まっているのが見えた。
気を失っているのか、目を閉じたまま力なく揺れている。
僕は唇を噛みしめた。
『また、会えるよね?』
ついさっき聞いた声が、幻聴のように頭の中にリピートする。
ゲートまで、引きずってでも僕が連れて行けば良かったんだ。
キロエの冷酷な声が倉庫の中に広がる。
「急いで来た割には、集めてこれたんだねぇ。」
倉庫の近くの包囲網で、叫び声がする。
「ごめーん、オレの仲間は紳士じゃないかもな。」
アミグ総括が
「敵は一人じゃない、警戒を怠るなっ!」
「もう少し遊んでいたかったのになぁ、ラーメン旨かったし。」
ゾクリとした。
「ギンゴいるんでしょ?この子助けたくないの?」
アミグ総括が振りかえって
「立ちあがるな、ギンゴ。」
「ミカエラじゃなく、最初から僕だったのか。」
キロエが
「ギンゴと交換だよ。
ギンゴが来てくれるなら、もう誰も殺さない。
君となら、世界を変えられる。
さぁ、おいで。」
「アミグ総括、ミカエラは自分なんかより、よっぽど国のためになる貴重な存在なんです。
絶対に手を出させない。」
ミカエラには未来がある。
何百年後も語り継がれるような伝説の魔術師にだって、きっとなれると僕は信じていた。
「ギンゴ、ぐずぐずすんなよ。
さぁ、ここに上がって来い!」
僕は立ちあがり、カラスに擬態すると飛び立ち、倉庫の屋根に舞い降りた。
キロエが仮設の事務所の入り口に座っていた。
ゆっくり立ち上がると、手招きした。
倉庫の痛んだスレート板はもろく、その下の鉄骨を選びながら、キロエの方に進む。
悪の側に付くのなら、使い魔は連れていけない。
タシームが悲しそうに吠えた。




