表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アケボノシナリー  作者: じんむ
3/6

アケボノサイン

(笑)は仕様です

 突然だが、俺には能力がある。でも残念ながら雷を操ってレールガンを放てるとか、異能の力ならなんでも自分の手で無効化できる幻想を殺すやつとかそういうものではない。俺の能力、それは「俺という存在をほかの人間からは認識されないようにできる」というものだ。まぁそうだな、例えば

「おい暗黒、ちょっとツラ貸せよ」

 はいでました脳内マジカル芦木君。ほんとうざい。まぁ能力があるから問題ない。というわけで発動。

「……誰?」

「へ? あれ、暗黒だったよな。え? 前も同じことあったくね? マジきもいわこれ……。マジごめん」

 芦木は「マジかー」と言いながら俺の前から離れていく。ほんとマジカルですね(笑)。とまぁこんな感じで俺がその能力を発動した時には相手が俺を俺だと認識できなくなるという能力。あと俺は暗黒じゃなくて安国寺春太郎だっての。もういいけどさ。この能力が発覚したのもつい先週。ちょうどゴールデンウィーク直前の五月二日のことである。当時はにわかに信じがたかったのだが、ちょっと前にあったゴールデンウィーク明けの校外学習とは名ばかりの遠足で俺の能力を検証してみたところ、それは本当のようで……。まぁ、けっこう嬉しいわけだが。


「暗いな……」

 雨が降りそうな雲だ。さっきは快晴だったんだが。とりあえずこんな檻からはさっさとでたい。傘はないがいくか。それに明日は土曜だ。とりあえず二日間だけだがこんな檻に収容されにいく必要がなくなる。雨を恐れてここに留まるのは愚の骨頂なり。

 俺は意を決帰路につく。走るか? 却下。疲れる。


 走らなかったのは不覚。すごい土砂降りなう! だってさ、疲れるもん走ったら。まぁそんなことはいいんだ。とりあえずあそこの軒下に避難せねば。

 流石にあまり濡れると心地が悪いので今回はダッシュし、なんとかピットイン。事なきを得た。

 今日は五月初旬だというのに暑いし、これはたぶんあれだな、ゲリラ豪雨。

 対してすることもないのでボケーっと沈黙しつつ空を眺めていたら騒がしく地面を蹴る音が聞こえた。 げ、近づいてくるし。

「うわ~ついてねぇ」

 うわ~髪に色ついてるねぇ。けっ、見るからにリア充そうな男が入ってきやがったな。失せろ!

 そのリア充してそうな男はこちらに気づくと、なんと話しかけてきた。

「あ、同じ制服じゃん、葉高?」

 ちなみに葉高とは俺の通う若葉高校の愛称である。

 てか何こいつ。俺に話しかけるのってマジカル脳内芦木君くらいのもんだよな。まぁ話しかけられたからには応答するのが礼儀というものだろう。べ、別に嬉しくなんかないんだからねっ。

「お、おう。」

 我ながらコミュ障になったなと思う。お、おう。ってなによ俺。

「でも参ったよなー。いきなり降るんだし。そうだ、名前なんていうの?」

 俺の名前を聞いただと、コイツ何者。しかし聞かれて無視するほどまだ俺は腐っていない。たとえ相手がリア充で気に食わない奴だとしても、必要最低限の礼儀は忘れない和の精神の持ち主なのだ。なんかそう言ってしまうと和の精神で汚いものだなぁ、人はうわべだけの関係で繋がってるってことを顕著に表してる。

「……安国寺春太郎」

「へぇ~、安国寺ってかっこいいな」

 かっこいいだと? 何をたくらんでいるコイツ。

「こう寺ってなんかかっこいいじゃん」

 どういう事だよ……お前のかっこいいの基準わかんねぇよ……。

「ん? どうしたの?」

 おっといけない、あまりにも突飛なことが起きるもんだからすっかり黙り込んでしまっていた。これ以上黙っていたら流石にまずいな。

「あ、いや、あーそんなこと……ねぇよ」

 ッフ、俺のコミュニケーション力なんてこんなもんだ。今のでもう俺に話しかけようという気はそげただろう。俺としても好都合だ。

「あ、ちょっとだけ弱まってるぞ雨。チャンス! 俺いくわ!」

 「じゃあな」とそいつは爽やかに手を振り少しだけ小降りになった雨の中へと走っていった。

 まぁ、そうなるよな。慣れてることだ、問題ない。


 週末明け、いつも通り静かな俺の日常がはじまるはずだった。ことが起きたのは移動教室に移動最中、俺はいつも通り一人で歩いていた。その道中、俺は前方に先週雨宿してる途中に出会ったあの男がこちらに歩いてきた。まぁ同じ高校だからいるのは当たり前といえば当たり前なのだが、問題はこの後だ。

基本どこでも人と関わるのは面倒くさい俺は、たぶん関わってはこないだろうが、念には念をということで能力を発動した。それなのに、だ。

「あ、安国寺だよな! この前ごめんなー、すげえ急いでてほんとはもっと話したかったんだけどどうしてもいかないといけなくてさー」

 俺と話したかった? コイツももの好きだなやつだ。

……いや待て、何故俺だと分かった?

「おま……なんで俺がわかる?」

 おそらく何を言ってるんだと思われただろう。しかしそう漏らさずにはいられなかった。

「ん? そりゃ見たまんまだろー」

馬鹿な……。気づいたら俺はその場から走り出していた。

 

 なぜだ、わからん。あのあと他のやつで再度能力を試して確認してみたのだが、俺の能力が消えたわけではなかったようだ。

 だとしたらあいつは一体……。わかった! きっとあいつも能力者なんだ! あらゆる能力を無効化する能力に違いない! 幻想を殺せるんだ!

 はい違うよね。まぁもっとも、俺に能力が備わっている以上他の能力があってもおかしいわけではないのだが。とりあえず、もう一度コンタクトをとってみよう、あの時は急な事でびっくりして逃げちゃったからな。明日決行しよう。


 コンタクトとるっていってもな……俺みたいなコミュ障がどうやってあいつに話しかけるか。正直無理ですね(笑)。

 昨日ちゃんと寝る前鏡の前で何度も「俺は話せる」って呟いて暗示かけたけど効き目あるかな?


 ちなみに今は昼休みの廊下を放浪しています☆ なんか行き交う生徒の目線が痛いんですが? 能力使っておこう……。

 てかあいつ何組だよ。あれそもそも同い年じゃなかったりして。やめろ……そんな事態になったら俺のコミュニケーションキャパシティが暴走をおこしちゃう。

「お、安国寺! 昨日いきなり走っていったけどどうした?」

 背後からかかってきたこの声の主はなんたる偶然。

 アイアムラッキーボーイ! あちらから出向いてくれるとは! しかしこれで分かった。理由はやはりわからないが、あいつには俺が認識できる。なにせ今俺は能力を発動しているのだから。

「あーちょっと腹壊してな……」

 とりあえず適当に言い訳をしておく。

「大丈夫だったか?」 

「まぁな」

「それはよかった! あ、俺思ったんだけどさ、まだ俺の名前言ってなかったくね? 俺は一年三組の潮田飛鳥、よろしく!」

 知りたかったことを一気に言ってくれるな。っと、そんなことより聞くべきことがあっただろう。

「……そういえばお前さ、なんか特殊能力とか持ってたりするのか?」

 しばしの沈黙。

 や、やってしまった……! 

「あ、ゲームの話か! ごめん、俺あんま持ってないんだよな~。サッカーのとかならあるけど」

 なんかプラスにとらえてくれたようだぞ?

「あ、あぁ、うん。すまんな、いきなり話を持ち出して」

「全然オッケー、ちなみにそのゲームってタイトルなに?」

 聞いてきやがったこいつ! まずい、俺がやってるゲームなんてお兄ちゃん大好きぎゅっとか魔法少女きゃぴるんぽーたぶる!とかだし……いや確かにそれに特殊能力はあったりするんだけどさ、言えるわけないだろ?

「あ、いやぁ、な~んだっけなぁ、な、長いから忘れちゃったーかなー??」

 とりあえずしどろもどろにお茶を濁す。お願いです追求はやめてください。

「なんだよそれ~、まぁ確かに長いのかあるけどさー、まぁいいよ」

 と言って俺の肩を軽く小突く。ふう、とりあえず助かったんだよな?

 でもコイツ、なんで俺なんかとこんな親しげに接するんだろう。

 まぁ、人間っていうのは汚い生き物であって、どうせコイツもなんかあるんだろうな。

 人間は所詮人間で、人間にしか過ぎないのだから。

 でもなんだろう、何か、何かが違うと感じる自分も居た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ