第95話
「お~?最近行商の人達が来ない」
ここ数週間行商が全く来なかった。
「どうしたんでしょうね?」
村の入り口でユーマはナナ達と外の様子を伺っていた。
「あれ?誰か来ますよ?」
「お~?」
ユーマ達が暫く待つと女の人がやって来た。
「すいません。こちらの村の方ですか?」
「そうですが?」
「こちらにAランクハンターのセレーナ様がいると…」
どうやらセレーナのお客さんらしい。
「お姉ちゃんに用事?」
「はい、ハンター協会から来ました」
「お~!お姉ちゃ~ん!」
ユーマはセレーナを呼びに向かいナナ達も追いかけた。
「わっと♪どうしたの?」
「セレーナ様ですか?」
「貴女は?」
女性は頭を下げると…
「ハンター協会から来ました。指名依頼です」
「指名依頼?珍しいわね?」
「緊急の依頼なので」
用件を説明した。
「…内容は?」
「謎の襲撃者の討伐です」
「…最近、行商が来ないのと関係してるの?」
女の人は頷いた。
「最近、行商が襲われるのが多発しています。わかっているのは空からの襲撃というだけです」
「空から?」
「あくまで目撃情報なんですが…」
女性は言葉を濁した。
「ないよりはマシね」
「…ドラゴンを見たと」
「……」
女性の言葉にセレーナは黙った。
「おいおい?冗談だろ?ドラゴンなんて天災級じゃないかよ」
「そうですね。個人の範疇を越えてます」
「普通ならSランクの依頼よね?」
セレーナの言葉に…
「他のハンターにも依頼しましたが…皆ドラゴンを恐れて引き受けて下さらないのです」
「それで回ってきて私な訳ね」
「お願い出来ませんか?」
セレーナは暫し悩んだ。
「仕方ない、やりましょ。ここで断ったら村の方が危険になるかもしれないし」
「おいおい、マジか?」
「ユーマ、出掛けるよ」
セレーナとユーマは久し振りの討伐依頼に出掛ける事になった。




