第89話
「オヤツのためなら、えーんやこーら!」
『旦那?またお小遣い稼ぎっすか?』
「お~?お姉ちゃんに言われてる~。自分の欲しい物は自分のお金で買いなさいって」
チュウ太は納得すると作業を見守った。
『またオヤツの為ですか?』
「そう!でも今日は剣じゃないの~」
ユーマはクリエイトハンマーではなく薬研を使っていた。
『薬研ですか?何を作るんすか?』
「お~?ポーションっての」
『ポーションすか?ありふれてるっすよ?』
チュウ太はそう言うがポーションの作り方は既に失伝しているのだった。今では何処の国でもポーションの開発は急務になるほどだった。
「お~?売れない~?」
『大福位は買えると思いやすぜ』
「お~。なら頑張る~」
ユーマはモチベーションを回復させて完成させた。
「いってきまーす!」
今回は自分の杖でシャウを乗せて向かった。一応空の護衛としてブレイドカノンも伴った。
「通ってよし!」
お城に着くと通行手形を見せて入れてもらった。
「えっと!」
コンコン
「入れ」
「失礼します」
国王の声が聞こえるとユーマは中に入った。
「お?ユーマ殿か、今日はどうした?」
「お?お~、王様にお願いがあるの」
「よいよい。言ってみるがよい」
国王がお茶を飲みながら答えると…
「ポーションを買い取って欲しいの」
「ぶー!」
お茶を吹いた。
「お~?やっぱり当たり前過ぎてダメ~?」
「いやいやいや!何と言った!?」
「ポーション作ったの」
ユーマの言葉に…
「おい、調合師を」
調合師が呼ばれる事になった。
「あれ?」
チュウ太の意見とは違う展開にユーマは?マークを振り撒いていた。
「失礼します」
「来てそうそうにすまぬ。至急これを調べてくれ」
「これは?」
調合師はユーマから瓶を受け取った。
「ポーションだ」
「なんですと!?」
「至急調べてくれ」
調合師は早速検分を始めた。
「ッ!」
サクッ
調合師は検分を済ませると手を少し切りポーションを飲んだ。するとすぐに傷口が塞がった。
「…国王様、間違いなくポーションです」
「やはりか」
「これはどなたが!」
調合師は気になった事を訪ねた。
「ユーマ殿?これはどうやって作ったのだ?」
「お?ひみつ~?」
「それは何故じゃ?」
国王は素直に教えてくれるユーマが教えてくれないので疑問に思った。
「本に書いてあったの!一子相伝?」
「ポーションが書かれた本がまだ残っているのか!」
「お~」
ユーマは手で口を押さえた。
「頼むユーマ殿。教えてはくれぬか?」
「お~?ボクのお小遣い稼ぎが少なくなる~」
ちゃっかりしているユーマだった。
「駄目か?」
「ダメ~」
「仕方ないな。今は諦めよう」
国王もヘソを曲げられては困るので強く出なかった。
「王様?買い取ってくれる?」
「どのくらいあるのじゃ?」
「こんだけ~♪」
ユーマは試験管サイズの瓶を十本出した。
「…金貨百枚でどうだ?」
「そんなにいいの!?」
「構わん。また無くなったら頼めるか?」
国王もちゃっかり無くなる事を前提に話を進めた。
「お~?その時はがんばる~」
「フローラに会って行くのだろ?お金はそちらに届けさせよう」
「ありがとうございます」
ユーマは謁見の間を出ていった。
「…これと同じ物を作れるか?」
「ご命令とあらば」
調合師は早速研究室に持ち帰り検分を再開した。




